amii ozaki_2020

何とこのコロナ禍でライヴ連チャン。しかもカナザワ的には、コロナ自粛後、初のホール・ライヴ。でも古い小屋ならともかく、この EX THEATRE ROPPONGIは、13年末に開館したばかりの新しい施設で、空間も広くエア・コンディショニングもバッチリ。入場時には検温とチェックリスト記入、連絡先の提出。シートも一席飛ばしでソーシャル・ディスタンスを守っている。聞けばEX THEATREは、ライヴ自粛の3月以来初の客入れライヴとか。ホールに入ると、ステージには定石グランド・ピアノがなかったが、コレも舞台上のディスタンスを守るため、だそうだ。

サポート・メンバーは、小原礼(b)、鈴木茂/是永巧一(g)、林立夫(ds)、佐藤準(kyd)、aisa(cho, ac.g, etc)という、いつもながら豪華な面々。いきなり影アナが亜美さん自身だったり、カンペを見ながらのメンバー詳細紹介があったり、珍しくインターヴァルを作ったり…など、コロナ禍ならではの新しい試みがいろいろあったが、シットリとバラードでスタートというのも珍しかったか。特に前半は、<マイピュアレディ>や<春の予感>、<冥想>など、初期代表曲のオン・パレード。すっかり定番の曲たちだけど、こうした困難な状況下で聴くと、いつのもライヴ以上に亜美さんのピュアネスがジンワリ染みてくる。

イイ歌を歌う、カッコイイ演奏をする、そんなアーティストは少なくないけれど、何か切羽詰まった時に自分の心に寄り添ってくれるように感じてしまうアーティストって、そう多くはないし、人それぞれに違うだろう。でもカナザワにとっての亜美さんは、きっとそんな存在なのだな。

<天使のウインク>や<Prism Train>といったノリノリのナンバーも、オーディエンスに自制を促した上での溌剌パフォーマンス。いつもは煽り系の楽曲でまくし立ててくる終盤あたりも、今回は曲順にヒネリを入れ、一気にドカンと爆発しないよう抑えている。当然 歯痒さはあるけれど、今はコレで精一杯ということか。それを一番切なく思っているのは、他ならぬ亜美さんなのだ。

一方でセットリストで目新しかったのは、礼さんと2人で作っている youtube Channel の Stay Home Music演目からチョイスした<スカボロウ・フェア>のカヴァー。それにAisaとのデュオによる<曇りのち晴れ>や、<シーソー>といった穏やかな曲が今回は刺さってきた。

サポート陣のうち、鈴木茂・林立夫・小原礼の同級生3人が、高校時代にSKYEというバンドを組んでいたことは知っている人も多いだろう。彼らは今、もう一人の同級生:松任谷正隆をメンバーに引き込んで、SKYEとして初レコーディングに臨んでいる、という報告も。カナザワは2〜3日前に取材で会ったブレッド&バターの岩沢兄弟にその話を聞いていた(ブレバタは来月、SKYEと一緒にライヴを予定)が、これはムチャ楽しみ。言わば、細野さんが礼さんに交代したキャラメル・ママ/ティン・パン・アレイだものな(マンタさんが佐藤博になったティン・パン、というのもあったけど…)。

もちろんエピローグは<オリビアをききながら>を礼さんと2人で。そして最後に<Smile>。

この後亜美さんは、黄門トリオ(with 小原礼・是永巧一)で京都と千葉を回るそうだが、まだまだ本格的なフルハウス・ライヴは開催できそうにない。今回は楽屋挨拶も不可で、ご本人には会えなかったが、ちょっとホッコリ、元気がもらえたライヴだった。