jefferson starship 2020

これはビックリ ジェファーソン・スターシップがまだ生きていた。ニュー・アルバムとしては『JEFFERSON'S TREE OF LIBERTY』から12年ぶり。ジェファーソンの象徴であるポール・カントナーが16年に逝去し、2年後には全盛期を支えたマーティ・ベイリンも後を追うように。看板シンガー:グレイス・スリックも既に音楽シーンから退き…、ということで、66年から続いたジェファーソンの系統も途絶えてしまうと思っていた。そこに突如登場したニュー・アルバム。最初は乱発されるハーフ・オフィシャル物かと勘ぐってしまったけれど、シッカリとリード曲のPVが作られ、しかもかなり出来が良くて再びビックリ。すぐに サブスクでチェックして、フィジカル購入と相成った。

現在のグループの中心にいるのは、ジェファーソン・エアプレインからジェファーソン・スターシップへの看板掛け替えから参加したデヴィッド・フライバーグ(Quicksilver Messenger Service 出身)と、ミッキー・トーマスがヴォーカルの時代に加入した後期メンバー:ダニー・ボルドウィン(ドラム/Elvin Bishop Group出身)。しかし女性シンガーのキャシー・リチャードソン、鍵盤のクリス・スミスも以前からメンバーになっており、新参者はギタリストのみ。だから、金看板を利用しただけのボロい作品ではないのだ。決意表明みたいにハツラツとしているリード・シングル<It's About Time>には、グレース・スリックが曲作りで協力。元メンバーのピート・シアーズがベースを弾いている(他にも2曲)。何処か(ジェファーソン抜きの)スターシップの初ヒット<We Built The City>を思わるのは、彼らの関与あってこそだろう。

他にも看板に恥じぬ重量感を持つ楽曲があり、なるほどと思わされるものの、実質6曲(リピート入れても全7曲)とちょい短め。しかもマーティ生前のソロ・アルバムからのカヴァー、エアプレインの出世作『SURREALISTIC PILLOW』(67年)収録曲<Embryonic Journey>のライヴ音源を入れるなど、何んとかアルバム・サイズに膨らませた感がある。<It's About Time>がナイスなだけにそこが少々残念なトコロ。ただ、そもそも何の期待もしていなかっただけに、意外なめっけもん、とも言えるかな。ジェファーソンの看板に思い入れがある向きは、聴いて損はないだろう。