narada_immortality

ついこの前、ジャーニーへの正式加入で世間をアッと言わせたナラダ・マイケル・ウォルデン。前任がやはり、バリバリのジャズ・ドラマーだったスティーヴ・スミスということで、このジャーニー側の人選は納得できるけれど、壱ドラマーに過ぎなかった彼に対し、ナラダはソロ・アクトとして成功し、同時にアレサ・フランクリンやホイットニー・ヒューストン、マライア・キャリー、ステイシー・ラティソウ、シャニース、アンジェラ・ボフィル、スターシップらを手掛けたグラミー受賞プロデューサーでもある。最近は最前線から離れていたとはいえ、ジャーニーへの加入じゃチョッと釣り合わない。果たして新作はどうなるか…?なんて思っているところに、ヒョッコリ、約5年ぶりナラダのソロ・アルバムが登場した。

しばらく表立ったニュースのなかったナラダが突然動き出したのが、2010年代に入って。突然ジェフ・ベックのバンドのドラマーとして復帰し、それ以来、主にドラマーしての仕事を前面に出している。13年の『THUNDER』、15年の『EVOLUTION』と、2枚のリーダー作は歌モノに寄った作りだったが、かつてのようなR&Bヒット狙いのポップさはなく、あくまでクロスオーヴァー・サウンドのバランス感を呈していた。

ところがこのアルバムは、一転して、インストのクロスオーヴァー・サウンド。かつて在籍したマハヴィヌュヌ・オーケストラのような小難しさはないものの、1st ソロ『GARDEN OF LOVE LIGHT(愛の空間)』の頃に戻ったようなジャズ・ロックっぽい作風に立ち返っている。今のナラダは基本的にコンテンポラリー・ジャズ・フォーマットのグループを率いているらしく、レコーディングに参加した主な顔ぶれは、40年来の相棒フランク・マーティン(kyd)、トリッキーなプレイを得意とするギタリスト:マシュー・チャールズ・ヘウリット、女性ベース奏者アンジェリン・サリス、曲によってベースとギターを弾くジャクソン・アレンの5人。ジェフ・ベックじゃないけど、ロックもジャズ・ロックもイケそうな陣容だ。

しかも曲名を見ると、いろいろ謎が多くなる。オープニング<Aretha Dances In Heaven>は、ナラダがこれまでにやってきた壮大なプログレ・フュージョンで、エモなギターがカッコ良い。<Michael Anthony Cadillac Walden>も同じタイプの楽曲ながら、こちらはタイトルよろしく、ドコドコと賑やかにドラムを響かせる。<Horace Silver>はほのかなラテン・フュージョンだが、ホレス・シルヴァーというより、パット・メセニーのブラジリアン・チューンのようなニュアンス。でも個人的にはコレが一番好きかも。<The Poor Shall Inherit The Earth>は、ナラダのスキャットとベースをフィーチャーしたジャズ・バラード。<We Can Live Forever>はプリミティヴな民族音楽のエッセンスをプログラムに乗せ、ナラダのスキャットと合体させた楽曲で、コンテンポラリー・ジャズのひとつの進化系と言えそう。アレサやホレス・シルヴァーには、それぞれリスペクトが潜んでいるだろうが、実際のサウンドとはあまり関係ないのかな?

しばらくジャーニーで稼げそうだから、ソロ作は趣味的に、って意図かもしれないけれど、いろいろ賛否が割れそうな作品ではある。