david gilmour

ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア、シド・バレットのソロ・アルバム紙ジャケ・リイシューがようやく。最初にアナウンスされてから、かれこれ1年半ぐらい待たされましたかね? しかも単なる情報だけでなく、音専誌への出稿もあって、特集組まれちゃうくらい期待を集めていたのに、そこから延期・延期の繰り返し。鈍重なフロイド・サイドの動きの悪さが原因だけど、ソニー担当者S氏の困り果てた顔も目に浮かんでいた。でも結果的にロジャー・ウォーターズ『US + THEM』、ニック・メイスンズ・ソーサーフル・オブ・シークレッツのライヴ盤と同時展開になり、プログレ方面はチョッとしたピンク・フロイド祭り。カナザワもシッカリ、買うべきものは買わせて戴きます

今回はギルモアが初紙ジャケ化6タイトル、シド・バレットは初紙ジャケ化のベスト盤を含む4タイトルが再発されるワケだが。それぞれに、英国オリジナルLPジャケット復刻、日本初版LP帯復刻といったポイントがあってソソられるが、カナザワがゲットしたのはギルモアの1st『DAVID GILMOUR』(78年)と『ABOUT FACE(狂気のプロフィール)』(84年)のみ。ギルモアのその後の4作はゼロ年代以降の作品だし、シド・バレットの旧作は東芝EMIやワーナーから出た紙ジャケ・シリーズで持ってるから、もう要らない。ココはそれぞれ個人々々の購入ポイントの違いだけれど、カナザワ的にはCD時代に入ってからのアルバムを紙ジャケ化されても、あんまし熱量は上がらないのだ。だけどギルモア初期2作は、今まで紙ジャケが出てなかったのが不思議なくらいで、実は心待ちにしていた。あとはもうリック・ライト『WET DREAM』が紙ジャケ化されれば満足だな。やっぱりフロイド・メンバーのソロで思い入れが深いのは、ギルモア1stとライトの『WET DREAM』なのだよ。

内容的には、もう完全にロジャー・ウォーターズ抜きのフロイド。サウンドだけで言ったら、『DARK SIDE OF THE MOON(狂気)』よりも『WISH YOU WERE HERE(炎〜あなたがここにいいて欲しい)や『ANIMALS』の方が好き、と言ってしまう叙情派カナザワにとって、これはもうドンピシャのアルバムだ。

そもそもフロイドは、お世辞にも演奏スキルが優れたバンドとは言い難く、作品コンセプトとサウンド・メイクの斬新さで70年代プログレ・シーンを代表する存在になった。特にシド・バレットがギルモアにスイッチしてからは、ブルージーな香りを湛えるギルモアのギターが音楽面をリードしてきたワケで、これはまさにその粋を集成した一枚と言える。フロイド参加前のセミプロ・バンドで一緒にプレイしていたベースのリック・ウィリス(後にフォリナー)、ドラムのウィリー・ウィルソン(元クイーヴァー)という気心知れたバイ・プレイヤーでバックを固めたのも、自分の自由意志で音楽を作りたかったからに違いない。

楽曲的には、ギルモアのプロデュースでデビューしたユニコーンのカヴァー、エリック・スチュワート(10cc )との共作、フロイドと近しいロイ・ハーパーとの共作などあるが、どれもギルモア色全開。それでいてフロイドほど作り込んだ感はなく、適度にラフで耳触りの良い雑味がある。ヒプノシスに拠るアートワークもそれを可視化しているな。テクニック至上主義的なプログレ・ファンには敬遠されるフロイドだけど、その存在感の大きさは、言うまでもなく唯一無二。作風はワン・パターンとはいえ、落ち着いたオトナのブリティッシュ・ロック風情は、ちょっと英国産AOR的に通じる。