jorge dalto_listen up

昨日のポストに続き、77年〜80年の3年間にニューヨークからユニークなクロスオーヴァー・サウンドを発信した幻のレーベル:ヴァーサタイルの作品群から、コレをピックアップ。ホルヘ・ダルトの『LISTEN UP!』。ホルヘといえば、ジョージ・ベンソンの大ヒット作『BREEZIN'』を筆頭に、『IN FLIGHT』や『LIVING INSIDE YOUR LOVE』『WEEKEND IN L.A.』などに貢献した、アルゼンチンはブエノスアイレス出身のピアノ奏者。ヴァーサタイルではハウス・ミュージシャン的存在の一人に数えられ、グラント・グリーンやカーメン・マクレエなど複数のアルバムに貢献している。

こうした活動に並行して、ソロ活動にも取り組んでいたホルヘ。アルバムは没後に出たピアノ・ソロ作を含め6枚あって、一番のオススメは、レア・グルーヴ的な楽しみ方もできるラテン・フュージョンの
初リーダー作『CHEVERE』(76年)。これのCD化を提案して実現に至った時は、かなり嬉しかったな。日本で名前が広まったのは、当時の東芝EMIが立ち上げたフュージョン・レーベル East Wind から出た、ホルヘ・ダルト&スーパー・フレンズ名義の『RENDEZ-VOUS』と『NEW YORL NIGHTLINE』(83/84年)。キメ手は豪華メンバーの参加と鈴木英人のアートワークでしたね。もっともホルヘのラテン・フュージョン本領は、その後にコンコード配下のラテン・レーベルから出た『URBAN OASIS』(85年)だったけれど。

でも実はその間に、78年に制作されてお蔵入りしたアルバムがあった。それがこの『LISTEN UP!』。79年にはすっかり傾いていたらしいヴァーサタイルだから、その煽りを喰らったワケである。陽の目を見たのは 88年になって。GAIAというニュー・エイジ〜アンビエント系レーベルからの、ホルヘ追悼(79年に39歳で没)リリースだった。このアルバムはプレスが少なかったらしく、結構レアだったが、自分は幸運にもリリース直後に入手。当時は蔵出しとは気づかず、闘病中にベンソン・バンドの元同僚とレコーディングした、フェアウェル・セッションだと思い込んでいたな。

なのでラインナップは、スタンリー・バンクス(b)にハーヴィー・メイスン(ds)、ロニー・フォスター(kyd)、フィル・アップチャーチ(g)に、ブレッカー・ブラザーズのホーン隊。更にアンソニー・ジャクソン(b)、もちろん親方ベンソンも参加し、<Spanish Harlem>で長尺ソロを披露している。ナタリー・コールでお馴染み<La Costa>では、ヒューバート・ロウズのフルートがイイ感じ。こうしたラテン・フィールの隠れ好曲を引っ張ってくるあたり、ホルヘはやっぱりセンスが良かった。

もちろんピアノ・プレイも然り。本気で歌い始める前のベンソンの品の良さは、制作面ではトミー・リピューマの手腕、現場のアンサンブルはホルヘが担っていた気がする。タイトル曲<Listen Up>、ホルヘのオリジナル<Samba All Day Long>のカッコ良さに触れると、もしこのアルバムがオンタイムで発表されていたら、ホルヘのポジションや知名度も違っていたか、と思わせられるな。