bread_butter 50th live

ブレッド&バター50周年スペシャル・コンサート〜あの頃のまま〜@大手町三井ホールを観戦。ちょうどコンピレーション『Light Mellow BREAD & BUTTER』の発売とタイミングが重なり、労せずして観ることができたけれど、キャパシティ550席の最新ホールはコロナ禍で300シート以下の設定に。チケットはすぐにソールド・アウトで、関係者でも観られない方が多かったようだ。6月に開業したばかりの OTEMACHI ONE 3階にオープンしたばかりのこのホール。クラシックにも似合いそうな美しい内装の小屋だったが、最初は少しハコ鳴りしすぎ、ベースが奥の方で暴れている感じ。でもライヴが進むと、だいぶ聴きやすくなった。

さて、この日のライヴ。今だから言えるけれど、実は先月、岩沢兄弟のコメント撮りに立ち会った時に、このライヴのセットを決めるミーティングがあって。その時お2人やスタッフの方から、「お時間あったらカナザワさんも是非参加してください」とお願いされて。差し出がましい、とは思ったが、その方が意見がまとまりやすい、ということで居残ることに。基本的には幸矢さん、二弓さんそれぞれにセット・プランを考えて来ていて、それを叩き台にまとめましょう、というコトになった。

幸矢さんからの奇抜な提案もあって、それはそれで面白く、試したい内容ではあったが、ホールの設備、コロナ禍の制限、そして何より50周年記念でWOWOWのTVカメラが入るということで、程よくオーソドックスな二弓さん案をベースに、幸矢さんのアイディアを盛り込んでいく形に。画像的に2人だけの弾き語りセットも欲しい、というWOWOW側の要望もあり、だったらオープニングでしょう、とカナザワ。現在レコーディング中であるSKYE(鈴木茂・小原礼・林立夫+松任谷正隆)のお披露目コーナーも、というコトで、休憩入れるならセカンド・セットの頭がスムーズでしょう、と発言した。プレイリストの曲は、おキマリの定番曲に『LIght Mellow BREAD & BUTTER』に合わせたチョイスを加味し、そこにいくつか個々の提案を盛り込む形。幸矢さんがこだわってたのは、中目黒のアパートに住んでた頃に書いた<#405>。二弓さんは<地下鉄>を演るならアシッドな『BB★C』ヴァージョン(98年のリメイク盤でカーネーションと共演)で、ということ。蔵出しの未発表曲として『LIght Mellow BREAD & BUTTER』に初収録した<TELL ME>は、コチラから言わずともセットに組まれてた。逆にこちらから提案したのは、最初は外されていた<Summer Blue>。サブスク人気曲なのを知っていた二弓さんが、「よく歌ってるから入れなかったんだけど、それなら演ろうか…」と採用。もちろんリハーサルでバックのお歴々が参加した時に、どう変わるか分からなかったが、基本的な流れはほぼこの時のミーティングを反映。自分も少しお役に立てましたかね

10分押しでスタートしたステージは、まず2人だけで<野生の馬>。いきなり幸矢さんが歌の出だしを間違えて仕切り直しになったが、これは予定にないリアル・ハプニング。「何年やってんだヨ」という二弓さんのツッコミで場が和み、「シローに捧げます」でオーディエンスはホロリ 結果オーライの幕開けとなった。でもブレバタの場合、これくらいのドタバタは、メンバーもスタッフも、そしてオーディエンスも織り込み済み。2曲目から大御所スペシャル・メンバーが登場したが、ある意味、いつものグズグズなブレバタ・ペースでステージが進んでいく。マンタ(松任谷)さんがMCの話をまとめようとしているのに、幸矢さんが天然ぶりを発揮してブチ壊す、みたいな… 演奏のみならず、このゴッツい4人がMCでも兄弟をサポートしているのが、この稀有なデュオの存在感を象徴しているな。前半は少々古めの楽曲を揃え、ゆったりしたノリのまま終了。ココまでは、ほぼほぼいつものブレバタ・ライヴだった。

約15分のインターバルを挟んで、セカンドはSKYEコーナーから。まずはマンタさんが「お爺ちゃんたちはまだ出てきません。もっと休ませてあげないとイケないので、少しだけ若いジジイたちが演ります」みたいな挨拶。聞くところでは、既に15〜6曲、リズム録りは終わっていてリリースは来年になるとか。この70歳代目前のデビュー盤( c松任谷)から、ハネたリズムの<Reach out to the Skye>と、メンバーが交代で歌うロックン・ロールの<Dear M>を披露。後者ではメロウな展開もある。ミュージシャン集団ではあるけれど、シンプルな楽曲でまずグルーヴありき、というコトか。マンタさんは「45年ぶりに歌った…」と語ったが、アルバムでもメンバー全員で歌っているそうなので楽しみだ。

幸矢さん、二弓さんがステージに戻って、まずはノリが良くなった<地下鉄>、そして「今日はユーミンも観に来てくれてます」と<あの頃のまま>。でも実はこのあとが凄かった。歌も演奏もグイグイとテンションが上がって行き、圧巻のステージ。特に<センチメンタル・フレンド>や<Summer Blue>の二弓さんは、いつになく声が出ていてビックリしてしまった。茂さんのギター・ソロもエラくエモーショナルで、<Summer Blue>のリズムのシンコペーションもキレッキレ。そのまま<Japanese Woman><ピンク・シャドウ>になだれ込み、いつものブレバタとは一味も二味も違うヴォルテージの高いパフォーマンスを展開した。バック・ステージを訪れていた尾崎亜美さんや鳥山雄司さんも、それを異口同音に話していて、「お爺ちゃん、まだまだイケるぢゃん」と。かくいうカナザワもブレバタのバンド・ライヴはもう数え切れないほど観ているが、その中でもピカイチのステージだった。

アンコールでは、スティーヴィー・ワンダーとの交流の象徴たる<特別な気持ちで(I Just Called to Say I Love You)>を少し緩やかに。そして最後は幸矢さん、二弓さんにマンタさんの3人で、シットリと<マリエ>でエピローグ。ミーティングで「最後はどうしたらいい?」と訊かれ、「<マリエ>を3人で演る予定なら、それで終わるのが一番キレイですね」と答えたところ、そのままの展開になった。ピッチもMCももうヨレヨレの幸矢さんだけど、80歳間近だというのに、この透明感溢れるハイトーン。それに寄り添う二弓さんのハーモニーも合わせ、まさにワン&オンリー、日本ポップス界の至宝。コロナ禍でその歌声をナマで耳にし、胸に迫るモノがあった。「またこのメンバーで演りたい」と連呼した幸矢さん、それはまさに心からの本心だろう。

終演後はバック・ステージで2人にご挨拶。亜美さんとは、先日亡くなった小林信吾さん話をひとしきり。なんと信吾さんは、最もヤンチャな時期に12年も亜美さんバンドに在籍していたそうだ…

ブレバタは12月にもアコースティック編成のクリスマス・ライヴあり。今日のライヴの模様は、11月12日(木)19:00からWOWOWでオンエア決定です。

bread_butter 50th setlist
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