martin & garp

AORは80年代初めで終わった、とほざく老害ディレッタントたちに問う、
オランダからのリアルな現在進行形AOR。
これはパクリか空耳か。
はたまた新世代ミュージシャンからのリスペクトなのか。
ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス以上に
新旧AORファンの胸をざわつかせそうな、
どストライクの直球AORニュー・プロジェクト、始動


…と、ちょっと過激なキャッチコピーを掲げてみたが、コレ、マジでヤバイっす

このマーティン&ガープは、【Light Mellow Searches】からデビューする新人アーティスト。その名の通りフィル・マーティンとロー・ヴァン・ガープから成るオランダのツー・メン・ユニットで、現在のUSからはまず出て来ない、極めてAOR度の高い音を聴かせる。ただし彼らはズブの新人ではなく…。フィル・マーティンは多忙なプロデューサー/ソングライター/ドラマーで、多くのユニット、プロジェクトやスタジオ・セッションに関与。リーダー・アルバムも出している。そのうちジャズインヴェイダーズは、ロニー・スミスとの共演で知られるオランダの人気ジャズ・コンボ。日本でも数枚アルバムを出しており、昨年リリースされた『LAST SUMMER IN RIO』は、アジムスとの共演盤だった。相方のガープは、オランダでは結構知られたセッション・シンガーで、TVやCMでも稼働中。今までにチャカ・カーンやアル・ジャロウ、ポール・キャラック、ロジャー・ホジソンらとの共演経験があるそうだ。Light Mellow Searchesのレーベルメイト:ティム・トレファーズの最新作『YOUNG AND DETERMINED』にはサックスで参加し、そちらの仕事もこなしている。

2人とも70年代の生まれで、ドゥービー・ブラザーズやスティーリー・ダン、イーグルス、ホール&オーツ、ボズ・スキャッグス、TOTO、アラン・パーソンズ・プロジェクトなどの大ファン。マーティンはその後スティーヴン・ビショップやネッド・ドヒニー、ペイジス、アンブロージア、ビル・ラバウンティなどにもハマッていった。
「とにかく70年代のサウンド、それにポリフォニック・シンセサイザーが使われ出した80年代初頭の音が大好きなんだ。目指したサウンドは、素晴らしくて深みのあるラディックのドラム、きらめくウーリッツァーとローズ・ピアノ、そしてもちろん美しいヴォーカルとハーモニーの数々さ」(フィル/以下同)

ほら、世代は違っても好みの音は同じなのだ。彼らはツー・メン・ユニットながら、レコーディングには信頼できるミュージシャンを集め、スタジオ・ユニットとしてアルバムを作った。
「このバンドでツアーに出てライヴが演れたら、絶対にイイだろうな。だから事の成り行きを見守ってみようと思ってる」

先物買いのポップ・ファンに注目されている、シドニー出身の在英アーティスト:ジョエル・サラクラが何曲か共作/参加しているのも注目点。彼は60〜70年代のロックやポップス、AOR、ソウル、ディスコなどを混在させたセンスを持ち、現代版トッド・ラングレンとも形容される。ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスやメイヤー・ホーソーンに比較されることも少なくない。
「2年前に知り合ったんだ。オランダへ来て、ライヴのために現地のパーカッション奏者を探していたんだ。それで誰かが僕のことを紹介したらしい。彼の最新アルバム『COMPANIONSHIP』には僕も参加しているよ」

コンテンポラリー・ハワイアンとかヨット・ロック風のアートワークにも、思わずニヤニヤ。自ずとヤング・ガン〜のジャケットにもリンクする。当時のAORアーティストに喩えるなら、ラリー・リーとかクレイグ・ランクとか。先に成功したAORアクトの美味しいエッセンスを空耳っぽく引用しながら、あくまで自然に、至ってスムーズに聴かせてしまう。その完成度がピカイチなのだ。

フリートウッド・マックのヴァイヴにクリストファー・クリスへのリスペクトを鋳込んだ<Making Up>。甘美なウエストコースト・チューン<Sleepless Nights>。オーレ・ブールドにも通じるファンキー・チューン<Pushing Away>。当人曰く「アヴェレイジ・ホワイト・バンドにウエストコースト風味をプラスした」という<The Way>。マイク+ザ・メカニクスで歌うポール・キャラックみたいな<Told You Straight>。僕たちの出発点だというマイケル・マクドナルド・マナーの< Start All Over Again>…と、あぁ、書いたらキリがない。

とりあえず1曲貼っておきますので、自分の耳でお確かめを(10/23公開)。コレを聴いて、ニヤリと笑える人とは、きっとお友達になれます…