jolis simone

これは嬉しい初CD化。オリジナルLPは米Columbiaなので、これまで何度かソニーに再発申請を行なっていたのだが、一向に許可が下りないと思ったら、そっかぁー、プロデューサーのロン・ダンテが原盤所有だったか…。要するにイタロ・アメリカン人脈ね。トミー・リピューマとニック・デカロも共にイタロ・アメリカンだし、有名なところではフェリックス・キャヴァリエもそう。映画『ゴッドファーザー』もまさにイタリアン・マフィアの抗争を描いていたが、あそこに登場するシンガーのモデルがフランク・シナトラなのはみんな知っているだろう。ほぼほぼ単一民族国家である日本ではあまり意識することはないが、移民国家の米国だと、これは自分のアイデンティティに関わる重要な要素。互いに尊重しあえば、無用な争いは減るのだが…。

さて、来週発売のジョリス&シモーン、79年のワン&オンリー作。自分がこのアルバムの存在を知ったのは、確か90年代前半のこと。7年前には、今は実質的に廃刊になっているR&B系音専誌WAX POETICSに、隠れたブルー・アイド・ソウル名盤10枚を紹介する記事を寄稿し、そこにこのアルバムを紹介していた。以下引用。

ニューヨークのイタロ・アメリカン・コネクションから登場したジェイムス・ジョリス&ケヴィン・シモーネのデュオ。しかもプロデュースがロン・ダンテ、アル・ゴーゴニも貢献大と血統を感じさせる一枚で、好事家には以前から知られていた。バリー・マニロウやレイ・グッドマン&ブラウンに取り上げられたアーバン・ミディアム<Midnight Lady>、イーヴィ・サンズのカヴァー<I Love Makin’ Love To You>、ブラジリアン・グルーヴを導入した<So Shy>、ロン・ダンテ自身のユニット“ダンテズ・インフェルノ”で取り上げられた<Roundabout Midnight>など好曲が多い上、バックにはリチャード・ティーやウィル・リー、デヴィッド・スピノザ、ジョン・トロペイなど、N.Y.スタジオ・シーンの手練が集結。サウンド面も高レヴェルで安定している。デルズが歌ったバラード<Just A Little Love>もなかなか。そして何より、メイン・シンガーであるジョリスの熱い歌い口が良い。ジノ・ヴァネリと言ったら褒め過ぎだけど、そのスタイルはまさしくイタリア系だ。

これを書いた後の7年間に入った追加情報は、彼らの拠点はボストンで、77年にポリドールからシングル・デビューしていたこと。またシモーンは本名をケヴィン・ディシモーンといい、デュオ消滅後はしばたくバリー・マニロウのバックを務めていたそうだ。またバリーは、2人がレイ・グッドマン&ブラウンに提供してアルバム・タイトル曲になったバラード<Stay>を改作し、82年のアルバム『HERE COMES THE NIGHT』に収録。ライヴ・ヴァージョンがシングル化され、全英23位のヒットになった。

ちなみにその7年前のWAX POETICSで紹介した他のブルー・アイド・ソウル隠れ名盤、残り9枚は以下の通り。

Mike Finnigan / Black And White 1978
The Righteous Brothers / The Son of Mrs. Righteous 1975
Jon Gibson / Love Education 1995
Millington / Ladies Of The Stage 1977
Jerry LaCroix / The Second Coming 1974
Lawler & Cobb / Man From Nowhere 1980
Lulu / Lulu 1981
Paul Nicholas / Paul Nicholas 1977
Rhead Brothers / Dedicated 1977

この後CD化されたタマもあるけど、セレクト自体は…、うん、基本的にブレてませんな