ron dante

前ポストで紹介したジョリス&シモーンのプロデューサーにして後見人、ロン・ダンテの81年作『STREET ANGEL』。当時の発売元Boardwalkが消滅しているので、今までCD化されてこなかったが、ダンテ自身が権利を所有しているのが明らかになったこの機に、ジョリス&シモーンと同時に初CD化となる。ロン・ダンテのソロ作としては2作目。CD発売は来週23日に。

一般的にロン・ダンテといえば、1960年代後半から70年代初頭にかけて大ヒットを連発したアメリカン・ポップスの名グループ、アーチーズのリード・シンガーというイメージ。その後はバリー・マニロウのプロデューサーとして、73年のデビューから80年代初めまで、二人三脚の状態で数々の大ヒットを生み落とした。こうした流れから、決してAOR本道のヒトではないのが分かる。

今回の再発も、見せ方はAOR然としているが、まぁ、AOR寄りのポップ・アルバムというのが正確なところ。ポジション的にはバリー・マニロウとAORの中間といったあたりで、アートワークほどのAOR感はない。実際バリーのプロデューサーという立場にいたダンテの元には、バリーに歌ってもらおうと大量の楽曲デモが集まっており、バリーのアルバムから漏れた好楽曲がたくさん残っていた。本来ソングライターであるダンテなのに、ここではほとんど曲を書かず、外部ライター作品を取り上げてシンガーに徹している。それは、そういう経緯で手元に残ってしまった楽曲の中から、捨て置くには忍びないマテリアルをピックアップして世に出す意図があったのではないか。

作曲陣のラインナップを見ても、スコット・イングリッシュ、リチャード・カー、ジノ・クニコなど、バリー楽曲のヒット・メイカーがぞろぞろ。ちょっと意外なのは、アル・ウィルソンのNo.1ヒット<Show And Tell>のカヴァー。AOR好きは、ザ・デュークス(ブガッティ&マスカー)がシーナ・イーストンに提供した<Letter From Joey>を<Letter From Zowie>として取り上げている点に注目だろう。でもアルバム・トータルで見ると、ミディアム・ポップやスロウ・ナンバー多めで、やはりAOR指数はさほど高くない。喩えていうと、AORアルバムに入っているMOR中庸路線の楽曲ばかりを集めた感じ。アナログA面/CD前半はまさにそうした内容だ。後半になって徐々にメリハリがついてくる印象で、バランスのペピー・カストロが意外にもセッション・ベーシストのウィーリー・ウィークスと共作した<Stay All Night>で、初めてAORっぽいビート・チューンの登場となる。

レコーディングはマイアミのクライテリアとニューヨークのパワー・ステーション。プロデュースはダンテとkyd奏者のポール・シェイファーで、シェイファーは双方のセッションを仕切る。参加メンバーも混成チームで、主なリズム隊はジョー・ガルド(ds)やジョージ・チョコレート・ペリー(b)らマイアミ勢、そこにハイラム・ブロックやウィル・リー、ヒュー・マクラッケンらが割って入る。ジョリス&シモーンの2人も、バック・ヴォーカルで参加。アルバムA/B面を入れ替えた方が、AOR好きには取っ付きやすそうだ。

またこの『STREET ANGEL』再発と同時に、ダンテのAOR系ワークス集が同時リリース。貴重な楽曲が多く、ダンデのディスコ・ユニット:ダンテズ・インフェルノの未CD化楽曲2曲の収録には、世界的に活躍する日本のディスコ・ミュージック・クリエイター:T-Groove が大いに反応していた。でもAORワークス集という看板下にこうした楽曲が入ってしまうこと自体が、ダンテのポジションを象徴している。言い換えれば、ダンテの作品はAOR枠に囚われないリスナー、ある程度メインストリームを通過してきた中級以上のAORファンが聴くべきなのだろうな。