greg lake anthology

キング・クリムゾン、エマーソン・レイク&パーマー(ELP)の結成メンバーとして知られ、16年に亡くなったグレッグ・レイクのCD2枚組アンソロジーが登場。ELP解散後80年代にスタートしたソロ活動は、最初はゲイリー・ムーアをパートナーにして注目されたものの、日本ではあまり当たらず。しかし本国UKでは、ELP稼働中に出したソロ・シングル<I Believe In Father Christmas(夢見るクリスマス)>が全英2位を記録。今ではその季節になると毎年聴かれるポップ・スタンダードになっており、その名は広く知られている。

それでも日本では、やっぱりクリムゾンとELPのグレッグ・レイク。自分が初めて聴いたのは、まだ発売されたばかりの73年作『BRAIN SALAD SURGERY(恐怖の頭脳改革)』。いきなりELPのピークから聴いたワケで、その衝撃はスゴかった。<Still...You Turn Me On>では、その美声に魅せられた。でもその直後、グレッグの美声を思い切り歪ませたクリムゾン<21st. Century Schizoid Man>を知り、また別の意味で大ショック。当時の邦題<21世紀の精神異常者>というのも、インパクト充分だったな。まだ中学生のカナザワ少年は、これぞプログレ、だと思った。

ELP時代のアルバムには、必ずグレッグのヴォーカルをフィーチャーしたアコースティック・チューンがある。それだけを集めると、おおよそグレッグのソロ・アルバムになる、そんな印象。このアンソロジーも、それをベースに肉付けしていった感覚が自分にはある。<Lucky Man><Take A Pebble><From The Beginning>…、組曲<Tarkus>の<Battlefield>はライヴ・アルバム『LADIES & GENTLEMAN』から、クリムゾン<Epitaph>とのメドレー版で収録。そして『PICTURES AT AN EXHIBITION(展覧会の絵)』の名曲<The Sage(賢人)>は、94年の再編ELPによるスタジオ・ヴァージョンで収められた。でもこの時の歌はかなり荒れ気味なので、ココはオリジナルで入れて欲しかったところ。クリムゾン<Peace>に始まり、それで終わる構成は、個人的には嬉しい。

熱心なファンの注目は、クリムゾン加入前にレコーディングされた音源だろう。ザ・シェイムの<Don't Go 'way Little Girl>は中期ビートルズ風。曲調のせいか、グレッグの歌声がジョン・レノンに似ているのが意外な発見だった。ザ・シャイ・リムズ<Love>はサイケデリックなアップ・ビートのナンバー。これもビートルズっぽいが、シド・バレット期のピンク・フロイドを思わせたりも。グレッグのベースがメチャメチャ攻撃的だと思ったら、コレを弾いているのは別のメンバー。でもプレイ・スタイルがよく似ているので、この人に影響を受けたところがありそうだ。

クリムゾン<I Talk To The Wind>は、12年のソロ・ライヴのヴァージョン。ELP<Closer To Believing>は、晩年のリ・レコーディング。歌声はどちらもドスの効いた荒くれ声で、かつての美声はもう聴けない。でもそれ以上に貴重な音源であり、こうしたアンソロジーへの収録には相応しいと思える。

グレッグはオリジナル期と再編期のELPで来日公演があったが、自分は観ることができなかった。唯一ナマで彼を観たのは、何と急遽ジョン・ウェットンのトラでやって来たエイジアの『ASIA IN ASIA』ツアーだから、自分とのご縁は薄かったのかな?

今回の『THE ANTHOLOGY』は、ハードカヴァー・ブック仕様の豪華2CD仕様と、ゲートフォールド・ジャケットのアナログ2枚組の2形態でリリース。ブックレットには奥様やマネージャーが提供したプライヴェート写真も掲載されている。日本プレス盤は出ないが、ワーナーミュージック輸入分は日本語解説付きの輸入盤国内仕様で流通するそうだ。まさにグレッグのフットプリントを集大成したアンソロジー。ソロではもう少し活躍して欲しかったと改めて…。