stales 75staples 76staples 77stapels 78

昨日のポストで、米レーベル:Omnivore Recordings が良い仕事を続けている旨を書いたけれど、今年初夏にリイシューされていたのが、ステイプル・シンガーズが70年代後半にワーナー・ブラザーズで発表した作品群。どれも初CD化ではないものの、それぞれにボーナス・トラックと資料性の高い解説を付け、統一感のあるデジパック仕様でリマスター再発。ソウル・ファンなら買い直し意欲を刺激されるコト請け合いだろう。

ステイプル・シンガーズといえば、ゴスペルの博愛精神とニュー・ソウルの社会派メッセージを親しみやすいサザン・ソウルに乗せて表現したファミリー・グループ。60年代から活躍していて歴史は古いが、70年代前半のスタックス期が一番有名。しかしスタックス倒産後は時流に乗って徐々にクロスオーヴァー化し、より都会的なシティ・ソウルを目指した。だから個人的には、このワーナー期のステイプル・シンガーズに愛着がある。

75年の『LET'S DO IT AGAIN』は、カーティス・メイフィールドがプロデュースしたブラック系アクション・コメディー映画のサウンドトラック。主演はシドニー・ポワチエとビル・コスビーで、邦題は『一発大逆転』。音も『SUPER FLY』を成功させたカーティスの色が濃く、リリースもカーティス主宰のカートムから。だからあのカーティス流儀のシカゴ・サウンド meets メイヴィス・ステイプルズの深いソウル・ヴォイスの邂逅が焦点になる。後半はサントラらしくインストのスコアが並ぶものの、アレンジはカーティス・サウンドの要ジル・アスキーとリッチ・テューフォだから、それはそれで楽しみがある。ここからタイトル曲が全米首位。続いて<New Orleans>もR&B4位(全米70位)をマークし、それを手土産にワーナー入りして、グループ名を “ザ・ステイプルズ” とした。

…とはいえ、ワーナー第1弾は、再びカーティス・メイフィールドをプロデュースに迎えての『PASS IT ON』(76年)。当然その音は前作の延長で、安定感がある。ただしカーティス自身にはそろそろマンネリ化が覗き始めていて、ディスコに目配せしているニュアンスも。それでも<Love Me, Love Me, Love Me>がR&Bヒット(11位)になり、さすがに面目を保っている。単にステイプルズの作品として聴くなら、マンネリ感など微塵もなく、これはこれで充分楽しめる。

77年作『FAMILY TREE』は、シャイ・ライツのユージン・レコード制作。ギターにフィル・アップチャーチ、ドラムにクイントン・ジョセフ、鍵盤にテニソン・ステファンズなどと、同じシカゴ人脈なので一部参加ミュージシャンはダブっているが、アレンジがトムトム84、ホーン・セクションにはアース・ウインド&ファイアーでお馴染み:フェニックス・ホーンズの一部面々も、というコトで、サウンド・メイクは少し新しい。<I Honestly Love You>は、オリヴィア・ニュートン・ジョンが全米No.1に仕立てたピーター・アレン楽曲のカヴァー。<Let's Go To The Disco>なんて曲を歌っているあたり(作曲はアレサの妹キャロリン・フランクリン)、如何にも時代ですね。

そしてワーナー期最後の78年作品『UNLOCK YOUR MIND』は、ワーナーらしく、ジェリー・ウェクスラーとバリー・ベケットのプロデュースによるマッスル・ショールズ・セッション。ロジャー・ホーキンス(ds)、デヴィッド・フッド(b)、ピート・カー/ジミー・ジョンソン/エディ・ヒントン(g)にマッスル・ショールズ・ホーン・セクションと、界隈の手練れミュージシャン総出演。音も自ずと原点回帰的になり、タイトル曲はR&B16位まで上昇した。好みはともかく、やはりステイプルズはコレだよな、という実感が湧くアルバムである。