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現キング・クリムゾンのフロント・プレイヤーとして、ギターとヴォーカルの重責を担っているジャッコ・ジャクジクのソロ・アルバム。ライナーによると、14年ぶり5作目のソロ作だそうで、クリムゾン参加後ではお初とか。正直「へぇ〜、そんなに出してんだ!」という感じだが、実はカナザワがジャッコを知ったのは意外に古く、83〜4年に、かのスティッフから12インチをシコシコ出していた頃に遡る。当時は単に “JAKKO” と名乗り、近年一部で再評価が進むラー・バンドみたいなことをやっていた。

クリムゾンとラー・バンドというとイメージが結びつかないけれど、当時のジャッコはデイヴ・スチュワート(EGG〜Hatfield & The North〜National Health〜Bruford)とよくツルんでいて、カンタベリー人脈に近かった。が、ご存知のようにデイヴ・スチュワートは、80年代初頭からバーバラ・ガスキンと組んで、突如シンセ・ポップをやり始めるワケで。しかもラー・バンドは当時、シャカタクやレヴェル42などのブリティッシュ・ジャズ・ファンクとひと括りにされて日本に紹介されるようになった流れもあり…。

実際90年代のジャッコは、アラン・マーフィー没後のレヴェル42でギターを弾いていた時期もあって、なるほどやっぱり横につながっているのだな、と頷いたことも。その後、デヴィッド・シルヴィアンを除く元ジャパン〜レイン・トゥリー・クロウ勢とグループ結成を試みるも軌道に乗らず、02年からはロバート・フリップ抜きのクリムゾン再結成プロジェクト:21stセンチュリー・スキッツォイド・バンドに参加。やがてはフィリップ翁に呼ばれ、11年にジャクジク=フリップ=コリンズとして『A SCATCITY OF MIRACLES (A King Crimson ProjeKct) 』を発表。それが進化した復活クリムゾンの正式メンバーとなった。

80年代からマルチ・プレイヤーとして知られただけに、ソロ作となれば、まさに本領発揮。フリップ翁にトニー・レヴィン、メル・コリンズ、ギャヴィン・ハリスンというクリムゾン・ファミリーに加え、ジャッコが大ファンだというプログレ・レジェンドのひとり:ピーター・ハミル、レヴェル42のマーク・キング、そしてセッション・ベーシストのジョン・ギブリンといったゲスト陣を迎えつつ、なかなか幅広いサウンド・メイクを聴かせる。もっとクリムゾン然とした音になっているかと思ったが、左に非らずで、カンタベリー寄りだったり、ワールド・ミュージックっぽかったり、アンビエント風味があったりも。<The Rotters Club Is Closing Down>はタイトル通りにハットフィールド&ザ・ノースへのオマージュ。ギターは当然のことフリップ翁の影響大で。

クリムゾンではグレッグ・レイクやジョン・ウェットンに比べられて、一本調子だと評価の上がらないヴォーカルも、こうして聴くとそう悪くはない。巧みにコーラスを取っている曲もあるし、<The Borders We Traded>なんて壮大なアカペラだ。ハミルのリード・ヴォーカルは1曲だけ。一番スケール感の大きい<Separation>は、クリムゾン勢+ハミルのバック・ヴォーカルで、まるで『IN THE WAKE OF POSEIDON』とか『LIZARD』の頃みたいなに仕上がっている。

コロナ禍でクリムゾンのツアーが中止になり、その空いた時間を使って、少しづつ作っていたソロ作を一気に仕上げたそうだが、クリムゾン・ファンには納得の仕上がりではないかな。最近のジャッコは、往年のプログレ名盤のリミックスを数多く手掛けており、スティーヴ・ウィルソン(ポーキュパイン・トゥリー)と並ぶ現行プログレ・シーンの要注意人物になりつつある。