smokey_one heartbeat

昨年 音楽ファンの間で話題になった映画『HITSVILLE:MAKING OF MOTOWN』に登場し、モータウン創設者ベリー・ゴーディJr.と共に大いに語っていたスモーキー・ロビンソン。日本ではスティーヴィー・ワンダーやマーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス、ジャクソン5といったトップ・スターに人気が集中しているが、看板アーティストの一人というだけでなく、実はモータウン全盛期の副社長であり、多くのヒット曲を書いたソングライターでもあったスモーキーを蔑ろにしてはイケナイ。しかもあのワン&オンリーのユニークな歌声。本当はもっともっとリスペクトされて然るべき存在なのだ。

そのスモーキーの作品を『AOR Light Mellow Premium 02』に登場させたいと思っている。かのABCが、“ヴァイオリンのように歌う” なんて形容で<When Smokey Sings>をヒットさせたように、ソウル/R&Bの肉体性やファンクネスとは一番遠いところにいる黒人シンガーだから、彼のアルバムがそこへ入ることに違和感を抱く人は少ないだろう。AORと黒人音楽はシームレスに繋がっていて、ハッキリした境界などないが、ガイド本に作るに当たっては、現実問題として何処かに線引きが必要になる。20年前のオリジナル『AOR Light Mellow』の時は、内々に「フロントは黒人でも制作陣は白人が中心」という基準を置いた。今回もそれがひとつの目安になるだろう。でもあまりそこには縛られず、あくまで聴感のAORっぽさを重視したいと思っている。

ではスモーキーから何を選ぶのか。レア・グルーヴ・シーンでは『QUIET STORM』あたりが再評価されているけれど、ことAORだと、タイトル曲が大ヒットした『BEING WITH YOU』(81年)、スティーヴ・バリ制作の『SMOKE SINGNALS』(86年)、それに続く『ONE HEARTBEAT』(87年)あたりだろうか。

『BEING WITH YOU』のプロデュースは、ロバート・ジョンやジョン・ヴァレンティ、ナタリー・コールらを手掛けたジョージ・トービン。『SMOKE SINGNALS』にはアヴェレイジ・ホワイト・バンドのアラン・ゴーリーのソロ代表曲<Sleepless Nights>のカヴァーがあり、リチャード・カーペンターやハーブ・アルパート、テンプテーションズにスティーヴィー・ワンダーらがゲスト参加している。ぞして『ONE HEARTBEAT』は、元クラッキンのリック・チュダコフ&ピーター・バネッタがプロデュース。現在シカゴにいるルー・パーディニが提供した名曲<Just To See Her>はココに入っている。再度のテンプスに加え、ケニーGも参加。AOR的には、ニールセン=ピアソンのリード・ニールセンが楽曲提供している点にも注目しておきたい。

かつてはワン・アーティストにつきアルバム一枚を紹介するだけだったが、今回は一定基準をクリアした作品ならなるべく多めに、というやり方。そのために異例の3部作にしたのだ。1冊目が好評だったから続編を出す、というのがガイド本の普通のやり方だが、それだと続編はどうしたって尻すぼみにになる。でも『AOR Light Mellow Premium』は、初版本、増補本がベストセラーになった実績があるので、最初から3部作構想が可能になった。だからこういう場合も、枠が許す限り、できるだけ多くピックアップしていきたい。でもまぁ、スモーキーのようなメインストリーム外のアーティストだと、それなりに絞り込みが必要だろうなぁ〜。