joe walsh 81

産業ロックや都市型ソウルとAORの境目が曖昧なように、ウエストコースト・ロックとAORの境界も在ってないようなモノ。広く言えば、そもそもAOR自体がウエストコーストと言われる(例えば東海岸産であっても)ことも多いワケで。それでも自分の中には何となくテイストの違い、ニュアンスの差があって、やっぱりウエストコーストは弾き語りでも成り立つスタイルがベース。たとえバンドが付いても、ソウルやジャズのエッセンスが薄く、真っ当な8ビートが中心になる。それゆえジャクソン・ブラウンや全盛期のリンダ・ロンシュタットは、AORには数えない。でも一方で70年代半ば以降のジェイムス・テイラーは、むしろ積極的に入れている。それはJ.T.のスタイル変遷を考えれば分かるところで、既に『AOR LIGHT MELLOW PREMUIM 01』で明らかにした。

ウエストコースト・ロックの大物イーグルスも、ほぼ同じ理由。カントリー・ロック・テイスト濃厚な初期作は対象とせず、『ONE OF THESE NIGHTS(呪われた夜)』をプレAORとして掲載した。グレン・フライが持ち込む優男らしいソフトさや洒脱感も、純朴でクソ真面目な青年が多いウエストコースト勢にあっては洗練されていた。西海岸サウンドのアイコン作『HOTEL CALIFORNIA』を載せるかどうかは決めあぐねているけれど、初回版に『THE LONG RUN』を入れたことは、小さな論争を呼びつつも理解を得られたと思っている。ティモシー・シュミット歌う<I Can't Tell You Why>の存在感も大きかったし。

ではイーグルスのメンバー・ソロ作となるとどうだろう? グレンとティモシーはOKでも、ドン・ヘンリーはAORにはヘヴィ、というのが大方の意見じゃないだろうか。そこで問題はジョー・ウォルシュだ。

ジョーといえば、<Rocky Mountain Way>や<Turn To Stone>、<Life's Been Good>などが代表曲。AORの典型的イメージが、80~100kmぐらいでフリーウェイを駆けるキャデラックだとしたら、ジョーのソレは轟音を立てて土煙を巻き上げながら50〜60kmで爆走するピックアップ・トラック。でもその中にポツンとメロウなバラードやミディアム・チューンを挟み込み、ファンの心を鷲掴みにする。そういうジョーのソフト・サイドが従来作より大きくクローズ・アップされたのが、この81年作『THERE GOES THE NEIGHBORHOOD(愛すべきならず者)』なのだ。

オープニング<Things>からして、まさにジョーならではの、スピード感のないドッスンバッタン・ドラムで辿々しく始まる。そこに、どうにも個性的なシャクり上げるヴォーカルが乗って、ウォルシュ節全開に。でも時代を反映してか、エレキ・ピアノのゆらぎ感は結構こちら寄り。ポップな<Made Your Mind Up>、トップ40入りした<A Life Of Illusion>、ウェットに聴かせるスロウ・チューン<Rockets>などが並ぶと、一連のジョー作品では一番 Light Mellow に相応しいと思える。イーグルスからはティモシーとドン・フェルダーが参加。他にデヴィッド・リンドレー、ラス・カンケル、ヴィクター・フェルドマン、ジョージ・チョコレート・ペリー、元バーンストームのジョー・ヴァイターレも名を連ねている。

これでアートワークが『BUT SERIOUSLY, FOLKS...(ロスからの蒼い風)」と反対だったら、もっと注目されたかもネ…