scherrie payne

昨日のメリー・ウィルソンの訃報にちなんで、メリーと共にダイアナ・ロス脱退後のシュープリームス最後のメンバーだったシュリー・ペインの、ワン&オンリーとなる87年ソロ作を。グループ解散後の79年に、もう一人のメンバーだったスゼイー・グリーンと組んで、シェリー&スゼイー名義のアルバムを出したが、そのあとは単発的にインディーからシングルを出したり、時折スタジオ・セッションに参加する程度。そんな中で87年、ジェイムス・イングラムの弟フィリップ・イングラム(ex-SWITCH)のソロ・シングル<On And On>(87年)でのデュエットが多少知られている。昨日も書いたように、シュリーは元グラス・ハウスのリード・シンガーで、フレッダ・ペインの妹だから、似たような経歴の実力派シンガー同士のデュエットだな、と思っていた。

この初ソロ作の存在を知ったのは、13年にシェリー&スゼイーがCD化された時の解説で。しかしそれを追い掛けるコトはしてなくて。19年に初CD化された時も気づかずで、去年レコードコレクターズの海外再発盤紹介コーナーで初めて復刻を知り、慌ててゲット。なのにそのままココにアップしないままで。スミマセンです…

アルバムのプロデュースは、意外にも元クルセイダーズのウェイン・ヘンダーソン。収録曲8曲は4曲づつ2つのチームで制作されていて、その一方がフィリップ・イングラム主導。彼がキーボードとプログラムを担当し、数多くのリーダー作を持つクレイグ・T.クーパーがギターを弾いている。嬉しいコトに<On And On>もシッカリ収録。実はフィリップと本作、同じレーベルから出ていたのだ。タイトル曲<Incredible>もこの両人のデュエットで、これは当時R&B57位を記録していた。また他の2曲は、当時テンプテーションズでリード・ヴォーカルを張っていたアリ・オリ・ウッドソン提供曲で、<Testify>はオーティス・ウィリアムスとの共作。恐らくはテンプス用に書いたものの不採用になってしまった曲なのだろう。こちらもタイトル曲に続いてR&B67位をマークしていた。

残り4曲はラスティ・ハミルトンが鍵盤とプログラムを担当。フィニス・ヘンダーソンやグレン・ジョーンズ、リビー・ジャクソンあたりに絡んでいたのを記憶していたけど、調べてみたらバリー・ホワイトやボビー・ウーマックにも重用されていた人で。

この時代ならではのサウンドメイクで、音作りは曲よって若干チャラかったりするが、ヴォーカルの歌ヂカラはサスガ。当時のハヤリだったクワイエット・ストームにも、そろそろ勃興してくるニュー・ジャックにも寄らず、そこは王道のアーベインなブラック・コンテンポラリー・スタイルを守っている。これは思わぬみっけモノかも。