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ヴァレンタイン・デイにつき、一応 相方からはチョコを貰ったが、それ以外は至って普通に巣篭もりのお仕事モード。息抜きに、自分も執筆にお声掛け頂いたレコードコレクターズ誌3月号アルファ・レコード特集に目を通している。今回の特集は、アルファ創始者:村井邦彦の古希記念として2015年に催された一大イベント『ALFA MUSIC LIVE』(@渋谷Bunkamuraオーチャードホール/当時のライヴ・レポートはコチラから)が映像ソフト化され、来月一般発売されるからだ。

今は、アルファといえばYMO、が公式のようになってしまったけれど、元々はキャラメル・ママ〜ティン・パン・アレイを率いた細野晴臣がハウス・プロデューサーに就いたポップス系レーベル。そのもう一方の柱が、当時シーンの最先端を走っていたクロスオーヴァーだった。YMOのデビュー作が出た時点では、テクノ・ポップなんて言葉はなく、その手のアーティストのデビューも日本で初めて。渡辺香津美や坂本龍一らの存在もあったからか、最初はアヴァンギャルドな異形のクロスオーヴァーとして登場したのを覚えている。

まぁ、アルファの足跡や代表作レビューはレココレ特集を読んで戴くとして。でもココで自分が改めて確認したのは、アルファはどんなに音楽的に多様化しても、いわゆる歌謡曲や流行歌、アイドルものには、ほぼ手をを出さなかったことだ。

「日本のポピュラー音楽は、当時の僕から見ると、あんまり洒落てないなと思っていた。(中略)いい音楽で、しゃれていて、あわよくば海外でも売れるようなものを作りたい。そういうもののが僕を突き動かしていた」
村井はアルファの米国進出失敗の引責で85年にアルファから離れるが、その後も彼の精神が引き継がれていたのは間違いない。

洋楽的な和製シティ・ポップを提唱してきた Light Mellow 和モノでも、基本的に歌謡曲やアイドルものには距離を置いてきた。でも今 海外でブームになっているシティ・ポップは、すべて一緒くた。それをどうこう批判するつもりはないけれど、それはもう自分の考えるシティ・ポップではない、と強く感じている。村井さんの言葉を借りるなら、当時の制作の段階で既に「海外を見ていない」と思えるから。メソッドは洋楽を昇華していても、マーケットは日本だけで完結している。日本発のスタンダードを作る意思など、何処にもない。

村井は別のインタビューで、音楽制作の手法として、ふたつの大きな流れがある旨を語っている。ひとつはマーケット・リサーチをして、売れそうなものを作る。しかしその逆で、今ある音楽をどのようにして届けるか、という方法があると言うのだ。そしてアルファは、完全に後者型だったと。前者の典型は、洋楽ヒットのエッセンスを日本向けに換骨奪胎し、是が非でもヒットに結びつける筒美京平。言い換えれば、村井は文化芸術、筒美は商品を売っていたワケだ。アルファの理念:We Believe In Music は、コロナ禍の今だからこそ、余計に沁みるモノがある。

そういえば、2014〜15年にリリースした Light Mellow 和モノのコンピレーション・シリーズの中に、アルファに焦点を絞ったものがあった(音楽出版社時代の楽曲含む)。ホンの数年前、一生懸命にシティ・ポップの再評価を進めようと悪戦苦闘していた頃に監修した一枚だけど、今のようなブームが来ることなど、当時は微塵も考えていなかったな。

『Light Mellow Wave』
1. ムーヴィング / サーカス
2. 愛してるって言って / 斎藤誠
3. ピンク・シャドウ / ブレッド & バター
4. Driving In The Rain / 吉野千代乃
5. I CAN'T WAIT / 佐藤博
6 .save up your love / 小田育宏
7. 夢は波に乗って / 山本達彦
8. マリーナ・ハイウェイ / 滝沢洋一
9. アドベンチャー / ガロ
10. 東京ラッシュ / 細野晴臣 & イエロー・マジック・バンド
11. 中央フリーウェイ / ハイ・ファイ・セット
12. 12月の航空便 / REICO
13. アイ・ラヴ・ニューヨーク / CASIOPEA
14. TAKE ME / 大野方栄
15. あとはLA LA LA / 麻上冬目
16. さらば愛の日々 / 桐ヶ谷仁
17. ほうろう / 小坂忠
18. 心のままに / 朝比奈マリア
19. LOVIN' YOU / 吉田美奈子
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