casiopea_mint jams

昨日ポストした『レコードコレクターズ誌3月号〜アルファ・レコード特集』にちなんで、アルファのクロスオーヴァー/フュージョン路線の旗頭だったカシオペアを。自分が一枚セレクトするなら、圧倒的に『MAKE UP CITY』(80年)なのだが、今はその2作後のコレ『MINT JAMS』が旬らしい。82年2月末にライヴ・レコーディングされ、その3ヶ月後には早くもレコ屋店頭に。まさに採り(録り)たてホヤホヤの実況盤。基本ダビングはナシで、オーディエンスの拍手や歓声は(ほぼ)すべてカット。その一方で演奏にリヴァーブをかけたり、エフェクトを使って空間演出をしている。

当時の音専誌の記事によれば、ヨーロッパでカシオペアのレコードを発売することになっていたCBS International のお偉いさんが彼らのライヴを観て、欧州向けにライヴっぽい雰囲気のアルバムを作って欲しい、と希望。それで急遽ライヴ・レコーディングが組まれ、それをスタジオ・ワークで仕上げる形が取られた。音数を減らしたアレンジも、後でエフェクトを掛けることを織り込んだから。針穴を通すような細かいテクニックを楽しめる『THUNDER LIVE』に対して、こちらはメンバーが一体となったバンド・アンサンブルやグルーヴ感、臨場感が生命線。<朝焼け>や<Take Me>はボブ・ジェームスのプロデュースで全米向けに録音された『EYES OF MIND』と重複していて、米国と欧州のセンスの違いが露わになった。その結果カシオペアは、レヴェル42やメゾフォルテのような英国ジャズ・ファンク勢に接近。欧州のジャズ・フェスをハシゴ出演したりして、YMOに次ぐアルファ海外進出の担い手になった。

レココレ誌特集では、アルファでのスタジオ最終盤にして異色作『SUN SUN』(86年)しかレビューしていないけど、やっぱりこの頃のカシオペアのサクサク刻む細かい16ビート・ファンクは英欧向け。ゆったり大らかなアメリカン・グルーヴにはそぐわない。フィットするとしたら、それこそニューヨークだけだったろう。

KING GNUみたいに、頭脳派テクニック集団が別の仮面を被ってヒットを出す今のJ-ポップ・シーン。洋楽でもダーティ・ループスあたりがそうだが、実はそんなのは70年代からあったこと。でも彼らみたいに、いま音楽的オピニオン・リーダーになれるミュージシャンがカシオペアあたりをリスペクトしてくると、何かチョッとは動きが変わるような気がしている。実際、北欧の若いアーティストに話を聞くと、親が持っていたカシオペアのレコードを聴いていたりして、その影響がシッカリ根を下ろしていることを知るのだ。