david coverdale

ちょっと煮詰まった時は自分のルーツに回帰、というコトで、デヴィッド・カヴァーデイルが77年にリリースした1st ソロ・アルバム『WHITESNAKE』。今ではすっかり彼のバンドとして有名になり、全米No.1ヒットまで出しちゃったけれど、オールド・ファンが最初に接したホワイトスネイクは、バンド名ではなく、このアルバム・タイトルだった。プロデュースはロジャー・グローヴァー、ベーシック録音はイアン・ギランが所有するキングスウェイ・スタジオ、そして発売元がパープル・レコード。まさにファミリー総出のソロ・デビューだった。

でも当時の評判は今ひとつ。パープル・ファンはみんな、レインボーみたいなストロング・スタイルのハード・ロックを求めていた時期だったから、ソウルフルなファンキー・ロックを得意とし、それを前面に出したカヴァーデイルには冷たかった。「悪くはないけど、物足りない…」 それが当時の大勢だったと思う。結局カヴァーデイルは矢継ぎ早に同路線の2ndソロ『NORTHWIND』を出し、そこで良きパートナーとなったミッキー・ムーディーと新バンド:ホワイトスネイクを立ち上げ。活動を重ねるごとにパープル出身者や界隈の手練れが増えていったのは、カヴァーデイルの手法が音楽的に正しかったことを証明していた。でも米国での成功を視野に入れてからは、いろいろゴタゴタ続き。新興大手ゲフィンと契約し、大ヒットを飛ばしたものの、L.A.メタル風にモデファイしたハード・ロック・サウンドからは、彼の持ち味だったソウル/R&Bスタイルは消えていた。

最近、ホワイトスネイクの活動を集成するように、テイスト別の編集盤を次々に出ているけれど、権利上の問題があって、どれも米国仕様になった後の作品ばかり。初期を思わせる<Is This Love>みたいな好バラードもあったものの、それでは興味を引かれない。カヴァーデイルと言えば、カナザワ的にはパープル〜ソロ〜初期ホワイトスネイクまで、なのだな。

久々にコレを聴き、やっぱりカヴァーデイルにはポール・ロジャースが神なのだ、と再確認。イアン・ギランがパープルを抜けたあと、残ったメンバーがロジャースに声を掛け、次にジェス・ローデンに白羽の矢を立てた、というのが有名だ。それが叶わずオーディションでカヴァーデイルを発掘したワケだけど、まさにそうしたブルー・アイド・ソウルが彼の身上。ギャオ〜とかいう金切り声でシャウトするのは、本来の姿ではないのだ。それでも成功を選んだ彼は、結局その声の魅力を失ってしまった。ちなみにロニー・ジェイムス・ディオがいたエルフも、米国のフリーと呼ばれていたことがあり、アルバムの中にモロそれ風の曲がある。

本作でのムーディー以外のメンバーは、スナッフ(Snaff)でムーディーと一緒だったティム・ヒンクリー(kyd)、ゴンザレスやオリンピック・ランナーズに名を連ねたディライスル・ハーパー(b)、そしてドラムに若き日のサイモン・フィリップス。サイモンはこの頃ロジャー・グローヴァーのセッションでは常連で、ジューダス・プリーストにもゲスト参加している。サイモン以外はファンキー系パブ・ロック人脈に近い顔ぶれでもあり、女性コーラスも参加。フリーみたいな渋目のサウンドメイクにパープル・ファンが文句を言っても、自分はそこそこ納得していた。特に<Hole In The Sky>というバラードは、マジ名曲です。

自分の持ち味であるR&Bスタイルと世界のファンが求めるシャウト・ヴォーカルの間で、ずーっと揺れ続けたカヴァーデイル。どちらが正解とは言えないけれど、今はこの最初のソロ作の程よいバランス感が心地良い。時々入るブラス・セクションは要らんと思うけど、ミッキー・ムーディーのスライド・ギターは随所でイイ味を出している。たまたまだけど、タイミング良くアナログが再発されるみたいデス。