naniwa exp

このところ、J-フュージョンのベテラン・グループに激震が相次いでいるようだ、と先日書いたばかり。プリズム:和田アキラの闘病も結構長くなってきて、音沙汰がないままで心配なこの頃だが、実はこのナニワ・エキスプレスも、密かに不運に見舞われていた。バンドの名物ドラマー:東原力哉が原因不明の運動障害に冒され、活動をストップしていると公表されたのだ。症状は数年前から出ていたらしいが、現在はそれが悪化して日常生活にも支障が出ているという。

ナニワ・エキスプレスは上方フュージョンの牽引役として82年に上掲『NO FUSE』でデビューし、86年に解散。2000年に再結成。近年は 大阪 Mister Kelly’sでの定例6days など、ライヴ中心に断続的活動を行なっていた。今年もそろそろ、という時期になかなかスケジュールが発表されず、熱心なファンには気を揉んでいた方もいたと思うが、実はそういう只ならぬ事情があったのだ。

力哉さんといえば、ナニワのみならず、本多俊之RADIO CLUB、渡辺香津美 RESONANCE VOX などでも活躍。“嵐を呼ぶ男”、“裸足のドラマー” など、数々の異名と武勇伝を持つ。 フュージョン・シーンで活躍しているが、ドラミング自体はトニー・ウィリアムスから絶大な影響を受けており、プレイ・スタイルはオールド・スクール。でもそれを逆手にとって独自のグルーヴを貫き通し、クセの強い、地震のようなグルーヴを提供してきた。それゆえ日本ではワン&オンリー。とりわけ、強靭なウネリを生み出すベース清水興と力哉さんのリズム・コンビネーションは、世界的にもピカイチの存在と言える。そんな個性派メンバーばかりが集まっているナニワなので、他のJ-フュージョン・グループがメンバー・チェンジを繰り返して時代を摺り抜けても、彼らは己たちのガチンコ・スタイルを通してきた。

力哉さん病欠のナニワというと、12年12月の『LIVE IN TOKYO CROSSOVER NIGHT』@東京国際フォーラムを思い出してしまうところ。あのイベントは、Casiopea 3rd、鈴木茂、高中正義、渡辺香津美、パラシュートにナニワというラインアップで、彼らは大阪でリハを済ませた後に、力哉さんが痛風を発症。もう出演キャンセルもままならない土壇場で、当時弱冠16歳だった平 陸クンを大抜擢し、当日リハのみで出演強行、大喝采を浴びたのだ(当時のライヴレポートはココから)。あの日のライヴは、今をトキめく川口千里チャンのお披露目ライヴ(当時リアルJK)でもあって、なかなか忘れがたいイベントだった。

でも力哉さんに関しては、既に療養が長期化しており、今後が不安。とりあえず、恒例Mister Kelly’s公演は残りのメンバーで2日間開催し、配信も予定。更に『Save the Drummer ! 東原力哉を救おう!』と題したクラウドファンディング支援を準備しているという。その詳細は今後オフィシャル・サイト(http://www.naniwaexp.com)で発表されるそう。力哉さんの1日でも早い快癒、ナニワの万全の活動再開を祈るばかりだ。