the band_stage flight

ザ・バンドが70年に発表した3枚目のアルバム『STAGE FLIGHT』の50周年記念デラックス・エディション、2CD版が我が家にも届いている。パンデミック影響下でリリースが1年遅れたが、Disc-1 にボブ・クリアマウンテンに拠るオリジナル・アルバムのニュー・ミックスと未発表ボーナス・トラック、Disc-2に同時期の垂涎ライヴ音源という構成は同じ。更に新装版のアナログLP180g重量盤、5.1サラウンド&ハイレゾ・ミックスを収録したBlu-ray、オリジナル版を復刻した7インチ・シングルなどがテンコ盛りの【スーパー・デラックス・エディション】も出た。が、ザ・バンドには思い入れが薄いカナザワなので、2CD版で充分かと。5.1サラウンドにはすぐ喰いつく自分だけど、元の2chミックスがスッカリ頭に入っていてこそ面白さが分かるシロモノなので、ザ・バンド拡張版は、“スーパー”の付かない普通のデラックス・エディションで済ませたのだ。

さて、今回の『STAGE FLIGHT』デラックス版。原盤イメージを一新するようなボブ・クリアマウンテンのミックスは相変わらず面白く。そしてもうひとつの話題が、オリジナルとは曲順が違うこと。最初の2作である『MUSIC FROM BIG PINK』や『THE BAND(通称ブラウン・アルバム)』ではメンバーの共作が多かったのに、『STAGE FLIGHT』の頃になると、積極的に曲を書くのはロビー・ロバートソンただ一人。そこでロビーは、他のメンバーに気を使って最初に予定した曲の並びを変更し、オープニングにリヴォン・ヘルムとの共作曲<Strawberry Wine>、次にリチャード・マニュエルと共作した<Sleeping>を持ってきた。

でも50年後の今となっては、リヴォンもリチャードも鬼籍の人。そこでこの機会に原初のオーダーに戻したのだという。オールド・ファンは長らく親しんできた順番が変わってしまい、違和感が大きいコトだろう。でもず〜〜っと遅れて聴いた自分には、さほど違いが感じられず、ロビーが最初に考えていた曲順も素直に楽しめた。

そう、自分がこのアルバムを初めて聴いたのは、おそらくリリースから20年以上経過してから。もしかして、『THE LAST WALTZ』を以って解散したザ・バンドが、90年代に入って再結成したタイミングだったかもしれない。もちろん代表作である『…BIG PINK』や『ブラウン・アルバム』は聴いていた。自分の世代だと、高校生の頃に出た『ISLANDS』(77年)あたりからがリアル・タイムになる。でもボブ・ディランが苦手だった自分がザ・バンドをちゃんと聴いたのは、かなり遅くて。映画『THE LAST WALTZ』も、ザ・バンドというより豪華ゲストの方を観ていたな。

Disc 2 の未発表ライヴは、71年のロンドン・ロイヤル・アルバート・ホール公演のもの。ブートレッグ・ファンの間では、彼らの最良のライヴのひとつと言われるパフォーマンスだそうだ。確かにサウンドは渋めながらも滅法エネルギッシュで、スタジオ・テイクよりも格段にグルーヴィー。コレ、当時ディランの先入観ナシに接していたら、自分も速攻でファンになっていたな。

今となっては、カントリー・ソウルとかカントリー・スワンプと呼べそうなザ・バンドの音楽を、それなりに楽しむことができる。ただそれでも、ポピュラーな初期代表作より『南十字星(Northern Lights-Southern Cross)あたりを好んでしまうのは、やっぱり ザ・バンド・リスナーとしては、何処かイビツなんだろう。