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「出る」という情報だけ入っていたアルバムが、年末にコソッとリリースされていました。カナザワが大好きなデイヴ・メイスンの1stソロ『ALONE TOGETHER』のリメイク盤『ALONE TOGETHER AGAIN』。現時点ではApple MusicやSpotifyなどのサブスクと配信リリースで、フィジカルはオフィシャル・サイトでCDが出ているだけ(https://www.davemasonmusic.com)。それでもご覧のように、70年のオリジナル・ヴァイナルのギミック・ジャケを紙ジャケで再現。ディスクも初回アナログ限定のマーブル仕様を模すなど、なかなかに凝った作りで、思わずニヤリ

デイヴ・メイスンといえば、スティーヴ・ウィンウッドと共にトラフィックを立ち上げたことで知られているけれど、その後脱退〜再加入〜また離脱を繰り返したことで、後年の印象はあまり良くない。しかし米国南部のスワンプ・サウンドに目を向けたのは、ジョージ・ハリスンやエリック・クラプトンよりも早かったし、クラプトンがデレク&ザ・ドミノスでの相方として最初に声を掛けたのも、デュエイン・オールマンではなくメイスンだった。

そのメイスンが初めて取り組んだソロ作。そのレーベルがトミー・リピューマのブルー・サムというのも、メイスンの音楽性を考えると、非常に象徴的なコトである。だからこそ昨年出したディスクガイド『 AOR LIght Mellow Premium 01』でも、プレAORの重要作として大枠で取り上げた。

その『ALONE TOGETHER』のリヴィジテッド盤がコレ。サイトに拠ると、オリジナル盤のマスターテープは08年に起きたユニバーサルの倉庫火災で焼失してしまったそうで、それも今回の再訪の理由のひとつとか。でも一番の理由は、近年行動を共にしているツアー・バンドの安定感から、既に発表から50年経った名曲たちを納得できる状態で演奏できている、ならばココで記録しておこう、という気持ちが大きいのではないか。アートワークやディスクの仕様を以前と同じにしたのも、それだけメイスン本人がこのアルバムに一際強い愛着を持っていることを示している。

当然曲順も同じで、女性ヴォーカルを従えてのスターター<Only You Know And I Know>から実に力強く。歌声にも衰えはなく、なかなかエネルギッシュに歌っている。<Can't Stop Worrying Can't Stop Loving>や<Shouldn't Have Took More That You Gave>は、ややカントリー色濃厚に。<Waitin' On You>のように代表曲の陰に隠れていたナンバーは、グンとダイナミズムを増して蘇った。対してライヴ定番<World In Changes>は、ちょっと意外な裏打ちのレゲエ・スタイル。最初はサスガに意表を突かれたが、有名曲だけに思い切ったアレンジが必要だったのだろう。後ろで鳴っているギターの音色が、一時のジョージ・ハリスンやクラプトンを髣髴させるモノで、やっぱりシンパシーを持っているのだな、なんて。<Sad And Deep As You>は、どうイジってもやっぱり涙の名曲。ジャムっぽく展開する<Look At You Look At Me>では、バンドの確かな実力を披露する。

ちなみにメンバーはベテラン揃いで、ジョン・サンバテイロ(g)は70年代からメイスンと付き合いがある他、ファイアフォールやマッギン・クラーク・ヒルマンの元メンバーでも。アルヴィノ・ベネット(ds)は元LTDでスティーヴィー・ワンダーやブレンダ・ラッセル、ケニー・ロギンスとの共演歴あり。トニー・パトラー(b,kyd)はフィーチャー・フライトやジェネラル・ケインに関わった。そこへドゥービーのジョン・マクフィーほかゲストが数名。基本的に音数は少なくシンプルで、ベーシックはスタジオ・ライヴっぽいレコーディング・セッションで録ったと思われる。ギターはもう円熟のメイスン節で、オールド・ファンはそれだけで感涙モノだろう。

調べてみたら、21年ぶりの純新作という触れ込みで出た08年作『26 LETTERS ~ 12 NOTES』(当時のレビューはコチラから)の時から、『ALONE TOGETHER REVISITED』の構想は既に出ていたそうで。現に<Sad And Deep As You>と<World In Changes>は14年作『FUTURE'S PAST』にも収録されていて、前者はほぼ同一テイク。後者はそのテイクを元にして差し替えなど手が加えられたようだ。

日本発売はなかなか難しそうだけれど、コロナ明け、是非ライヴが観たいぞ。

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