al jarreau works

これはワーナー・ジャパンのナイス・ジョブ アル・ジャロウの生誕80周年を記念した、日本独自編集による音と映像の作品集3枚組だ。先月で早くも没後4年を迎えたが、今でもアルの歌声を耳にする機会は多く、とても故人とは思えない。そしてその度に、インタビューした時の人懐っこい笑顔を思い出してしまうのだ…

さて、この3枚組。まず disc 1は、いわゆるヒット曲集。76年の2nd『GLOW』収録曲で、当時トミー・リピューマ周辺で評価が高まっていたレオン・ラッセル作<Rainbow In Your Eyes>でスタートし、名演<Spain>、最大のヒット・シングル<We're In This Love Together>、そして人気の<Breakin' Away>や<Mornin'>、ボビー・コールドウェルが提供した<All Or Nothing At All>など、定番曲・代表曲が並ぶ。個人的に、コレを入れるならアッチが先でしょ!みたいなのもナイではないが、おそらくそれは誰もが1〜2曲は持っているはずで、まぁ、大した問題ではない。

対して disc 2は、タイトルに相応しいワークス集で、レア楽曲やライヴ音源に、アルがゲスト参加した他流試合的楽曲をコンパイル。フローラ・プリム、ジョー・サンプル、ハイラム・ブロックに、少し前に亡くなったチック・コリア(前述<Spain>の作曲者でも)の奥様ゲイル・モランのアルバムから、というチョイスは、よくぞと絶賛したい。サントラ『NIGHT SHIFT』からの<Girls Know How>、元々『JARREAU』のカセットのみに収録されていた<I Keep Callin'>、『HEART HORIZON』期のシングルのカップリング<One Shot>、96年のベスト盤に入っていた新曲<Compared To What>、シングルでしか出ていない<The Christnas Song>など、アル・ファンには垂涎のセレクトである。

そして disc 3は、94年に発表されたスタジオ・ライヴ盤『TENDERNESS』の初DVD化。CDとは若干内容や曲順が異なるが、何より、マーカス・ミラーをセッション・リーダーに、スティーヴ・ガット(ds)、ジョー・サンプル(pf)、ニール・ラーセン/フィリップ・セス(kyd)、エリック・ゲイル(g)、ポウリーニョ・ダ・コスタ(perc)、マイケル・パッチェス・スチュワート(tr)、ゲストにデヴィッド・サンボーン(sax)という布陣が超ゴージャス。この並びだとビシビシの丁々発止を期待したくなるが、実際はみんながみんな抑えたプレイで、アルの歌声を最大限に引き立てている。しかも歌われる曲は、ポップやジャズのスタンダードに、ごく初期の隠れたレパートリー、そして新曲と思しき初披露曲など。それこそ disc 1に登場するようなアル・ジャロウ・クラシックは、ひとつもない。エルトン・ジョン<Your Song>やビートルズ<She's Leaving Home>は、かつてスタジオ・アルバムでも歌っていたから、かなりのお気に入りなのだろう。初めてこのライヴ・アルバムを聴いた時は、その地味な内容にちょっと肩透かしを喰った気分になったものだが、グレイテスト・ヒッツ・ライヴ的作品を期待するなら、85年作『IN LONDON』がある。もしかしたらアルは、デビューから20年近く在籍したワーナー・グループでの有終の美にすべく、映像込みの大きなプロジェクトを仕込んだのかもしれない。現にアルはこれ以降、GRPに移籍し、ジャズ色を深めていくことになる。そういう意味でも、実に貴重なスタジオ・ライヴ映像の復刻なのだ。