ricky peterson bros.

デヴィッド・サンボーン、プリンスらの参謀役で、ベン・シドラン・ファミリーの中核でもあるキーボード奏者リッキー・ピーターソン。日本では90年の初リーダー作『NIGHT WATCH』に於ける2曲のビル・ラバウンティ・カヴァーが鮮烈で、いつもAORファンの注目を集めてきた。実際その後続作でもボビー・コールドウェルやラーセン=フェイトン・バンドの人気曲をリメイクして、AOR楽曲への愛着と造詣を露わに。ところがインスト中心の99年作『SOUVENIR』を最後にソロ制作から離れ、19年ぶりに出した『DROP SHOT』は、ボブ・ミンツァーが指揮するドイツのビッグ・バンドとの共演作になった。

でもそれが呼び水となったか、約3年という短めのインターヴァルで登場したのが、この『UNDER THE RADER』なるアルバム。しかも嬉しいコトに、リッキーのリーダー作であると同時に、ミネアポリスを代表する音楽一家:ピーターソン・ブラザーズを率いての初アルバムになった。

ピーターソン・ブラザーズを構成するのは、長男のウィラード(ac-bass)、次男リッキー、三男ポールの3兄弟と、リッキーのお姉さんでシンガーのパティの息子ジェイソンという4人の男系ファミリー。ウィラードはビリーの愛称で知られ、ベン・シドランのGo Jazzのブレーンでもあった。またポールはリッキー同様セント・ポールの名でプリンス一派に属し、ザ・ファミリーの中核としてデビュー。解散後はセント・ポール名でソロ活動を展開した時期も。本作でもドラム、ギターにヴォーカルを担当し、マルチ・ミュージシャンぶりを発揮する。この4人に加え、トム・ピーターソン(sax)、お馴染みのセッション・マン:リー・ソーンバーグ(sax)、ハワイ出身でレムリアにも参加したアイラ・ネパス(tb)の3管でホーン・セクションを形成している。

まぁ、リッキー・ピーターソンというコトで、例によってAORファンが期待を寄せるかも知れないが、ココにいるのは、グルーヴィーなオルガン・ジャズをプレイするリッキー。唯一の本格的ヴォーカル・チューン<Blue Cadillac>もポールが歌っている。Go Jazz ではエレベがメインだったウィラードは全編ウッド・ベースで通しており、ポールの端正なドラミングと相まって、サッパリとしたシンプルなノリが特徴的。ジェイソンのアルトはもろサンボーン調。リッキーのオルガンも、時々ニール・ラーセンっぽい音色になる。収録曲も兄弟たちの共作もしくは単独作で、<Sit This One Out>がソロモン・バークのカヴァー、<Love Is The Only Way>がベンの提供。ベンは共同プロデューサーとしてもクレジットされ、今なおピーターソン家の後ろ盾になっている。どうせなら、このピーターソン兄弟にシドラン親子が乗ったライヴ・ショウ、なんてのも観てみたいモノだ。