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今月初めに当ブログのこちらで紹介した四人囃子のネット通販限定ボックス・セット『RIDE ON SEE SAW』が、速攻で一般発売決定に。そこでカナザワも急遽コメントを寄せることになり、この一両日はSEE SAWレーベル時代の四人囃子3作品を聴き倒していた。

74年にリリースされたばかりの『一触即発』を買って以来、大の四人囃子ファンになったカナザワだが、何せ当時は中学生。初めての生・四人囃子は、森園勝敏が佐藤ミツルに代わったあと。なのでその時期の最初の2作、77年『PRINTED JELLY』と78年『包( BAO)』には深い思い入れがある。

確かに、天才肌でセンスの塊だった森園が牽引した『一触即発』や『GOLDEN PICNICS』のようなスゴ味はない。でもシュールな詞の世界から離れ、詞曲ともに自前で賄うようにした時点で、新生・四人囃子の青写真はできていたのだろう。佐藤ミツルは森園よりトリッキーなギターを弾くテクニシャンだが、そのプレイは緻密に構築して組み立てていくタイプで、スタイルはある意味で正統的ハード・ロック。その分メンバー4人がより濃厚に協調していくしかなく、かつてのように破天荒ではなくなったのと入れ替わりで、バンドとしてのまとまり、一体感が増した。森園時代に比べると物足りなさは残るが、サウンド自体がポップ・ロック寄りになり、ファンも親しみやすさを感じたはず。『PRINTED JELLY』のオープニング<ハレソラ>は、後期・四人囃子の魅力を分かりやすく濃縮した名曲である。

続く『包』は、『PRINTED JELLY』の延長戦というベクトルにありながら、長尺曲を排したコンパクトかつスピード感溢れる作り。突如出現したパンク、そしてテクノのインフルエンスを取り込みつつ、それを四人囃子流に咀嚼した。当時の英国プログレ勢ビッグネームが右往左往していた時期で、四人囃子の吹っ切れ具体はひときわカッコよく映ったものだ。4人のメンバーのバランス感が拮抗する中、まとめ役としての佐久間正英が頭ひとつリードするようになった感覚があった。でも今回久々に『包』を聴いて意外だったのは、シンセや鍵盤類のシンフォニック指数が殊の外 高かったこと。もっともこれはkyd奏者:坂下秀実の貢献だけでなく、一緒にシンセを操る佐久間のサポートあってのコトではなかったか、と思うが。

でも結局この『包』を最後に、坂下がバンド離脱。オリジナル期最後の『NEO-N』は、佐久間主導の下、森園時代に一時5人目のメンバーとして参加した茂木由多加がサポート参加し、四人囃子らしいプログレ作品を完成させた。コレは一部で最高傑作との呼び声高いが、個人的には愛着度薄し。結局、プロデュース・ワークの面白さを知った佐久間が、四人囃子の名に相応しいスタイルでグループ有終の美を飾るために作った、というプロジェクト感が強く、前2作のようなハンドメイド感を欠く。でも、だからこそ完成度が高くなった、というロジックも成り立つから、各リスナーと四人囃子との関係性、慣れ親しんだタイミングにも左右されるだろう。

で、この3作を最新リマスターと高音質UHQCD仕様でパッケージした『RIDE ON SEE SAW』。ポニーキャニオンショッピングクラブ限定箱の特典DVDはオミットされたものの、5月中旬以降は一般リテールでも購入可能になる。今年は四人囃子の活動50周年にも当たり、『RIDE ON SEE SAW』の市販スタートに前後して、『DANCE』『LIVE HULL HOUSE MATINEE』(共に89年)のリマスター・ボックス『DANVE IN MATINEE』も登場するそう。ファンの方は要チェックです。

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