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好調デニス・デ・ヤングに続いて、本家スティクスもニュー・アルバム『CRASH ON THE CROWN』をリリース。アートワークが何処となくヒプノシスっぽいが、内容もデニスに負けず劣らず良くできてて、ちょいと驚き。かつてはバンド名を巡って訴訟でやりあった者同士だけど、まるで歩調を合わせるように、それぞれ分裂後の最高傑作をぶつけて来た。元の鞘に収まらないのは残念だが、張り合うように力作を出してくるなら、それもまた良いのではないかと。

デニスの場合と同じように、スティクス本体も前作『THE MISSION』が充実していた。元ベイビーズ〜バッド・イングリッシュのリッキー・フィリップス(b)が加入して、もうすぐ15年。全盛期メンバー3人、トミー・ショウ、ジェイムス・ヤング、チャック・パノッソを含む6人のメンバーには交替もなく、安定感を増している。またトミー・ショウが『THE MISSION』から側近として呼んだと思しきウィル・エヴァンコヴィッチの貢献が素晴らしく、15曲中13曲を共作or作曲し、プロデュースも兼任。完全にバンドの頭脳として機能している。

一番尺の長い曲でも4分と実にコンパクトな作りで、矢継ぎ早に楽曲が進んでいくが、結構耳に残るメロディやアレンジが多く、スペクタクルな構成に唸るばかり。クイーン的ニュアンスは以前から指摘されてきたが、今回はイエス、ELOあたりを髣髴させる瞬間も多く、その都度イチイチ盛り上がる。スピーディーな場面展開の屋台骨を支えるトッド・サッチャーマンのドラミングもすごく良く、ちょっとヴィニー・カリウタ風だったり。

個人的には『CRYSTAL BALL』『THE GRAND ILLUSION』『PIECES OF EIGHT』『CORNERSTONE』という70年代後半の作品群で、スティクスにドンドンのめり込んでいったのに、80年代に入っていきなり分かりやすさと背中合わせの大衆化に走ってしまったように感じられ、熱は一気に冷めてしまった。大ヒットして好きな人も多いだろうけど、<Mr.Roboto>なんて醜悪にさえ映っていた。だから彼らに対して感動を覚えたのは、おそらく『PIECES OF EIGHT』以来。今になってココまで強く現役感を打ち出してくるなんて、ホント、ビックリしたなもぅ…