robert cotter

シックの前身であるビッグ・アップル・バンドが全面参加した幻の作品、として知られている一方、コレクター泣かせの激レア・レーベル Tiger Lillyからのリリースのため、ダブルでディスコ・フリークのコレクターズ・アイテムとして有名なロバート・コッター、76年作がサクッと世界初CD化。 Tiger Lillyはレア・グルーヴ期になってジャクソン・シスターズで知られるようになったけれど、オリジナル盤は極めて珍しい。

でもコレ、ぶっちゃけて言うと、ちょっと看板倒れの様相で… ナイル・ロジャース、バーナード・エドワーズ、トニー・トンプソン、ロブ・サビーノという後のシック勢の参加は、全曲ではなくわずか2曲、<Love Rite>と<Saturday>のみ。しかもシックらしいディスコ・サウンドは期待するのは土台ムリな話。

確かにバーナードのベースがグルーヴを引率していくような<Love Rite>は、シック前夜といった感じもあって、ナイルのギターもよく鳴っている。リード・ソロもご愛嬌程度に。ドラムとピアノはシックではあまり聴けないような細かいリズムでジャズ乗りのシンコペーションを生んでおり、ちょっと新鮮。コッターのファルセットも強力だ。

対して<Saturday>は、BPMの早い、つんのめり気味のディスコ・チューン。ナイルのカッティングは快調に飛ばしているが、このテンポ感ではナイルやバーナードの本来の魅力はあまり活きてこない。でもだからこそ貴重でもあり。実際この曲は、シックのシンガーとなるノーマ・ジーン・ライトがソロ・アルバムで取り上げるのだから。シック制作によるノーマ版は、やっぱり少しだけスピードを落とし、コーラスと弦を絡めたシックらしいアレンジに。とはいえバーナードのベースは、もうコッター版の時点からブイブイいってて、カッコイイです。

それ以外の曲は、白人客の多い場末の小屋で黒人シンガーの歌を聴いているみたいで、ブルース、ゴスペル、ファンクにフォーク、ポップス、ボッサと、何でもありのごった煮状態。コッター自身がなかなか歌えるシンガーなのが救いだけれど、アルバムとしては見る影もなく…。シックのコレクターのみにオススメ、といったところかな。