kenny nolan:night miracles

なかなかCD化が進まないケニー・ノーランの作品群から、79年発表の3rdソロ『NIGHT MIRACLES』が待望の世界初CD化(韓国Big Pink盤の国内仕様)。4枚出ている彼のオリジナル作では、【Light Mellow 2010】シリーズでCD化した4thアルバム『HEAD TO TOE』(82年)以来、約10年ぶりになる。その直後だったか、米再発レーベル:Fuelから『ALL-TIME GREATEST PERFORMANCE』なるベスト盤がリリースされたが、レーベルの関係か、この3枚目からは1曲も選ばれず。遡ると、2000年に組んだコンピ『LIGHT MELLOW ~ AOR Groovin' & Breezin'』シリーズのユニバーサル編に 絶品シティ・ソウル・チューン<You're So Beautiful Tonight>を入れたのが、これまで唯一の本作収録曲の銀盤化であった。

ケニー・ノーランといえば、ソングライターとして、75年にフランキー・ヴァリ<My Eyes Adored You(瞳の面影)>とラベル<Lady Marmalade>で2曲連続全米ナンバー・ワンを飛ばしたことで有名。他にもディスコ・テックス&ヒズ・セックス・オー・レッツ<Get Dancin'>(75年・全米10位/R&B32位)、ジム・ギルストラップ<Swing Your Daddy>(75年・全英4位/全米55位/R&B10位)、タヴァレス<Penny For Your Thoughts>(82年・全米33位/R&B16位)、ベイビーフェイスがいたザ・ディール<Shoot 'Em up Movies>(88年・R&B10位)、アトランティック・スター<Masterpiece>(92年・全米/R&B共に3位)などをチャートに送り込んでいる。

ケニー自身がアーティストとしてヒットさせたのは、1st『KENNY NOLAN』から<I Like Dreamin'>(77年・全米3位)、同20位<Love's Grown Deep(愛の泉)>、同97位<My Eyes Get Blurry(うつろな瞳)>の3曲を、そして本作『NIGHT MIRACLES』から<Us And Love (We Go Together)>を全米44位に。でも彼自身が積極的にアーティストであろうとしたのは、わずか1年ほど。プロモーション活動が性に合わず、曲作りの時間も確保できなくなったことから、早々にアーティスト活動を断念。作曲や制作ワークを自分のメインに据えるようになった。

最初は<I Like Dreamin'>のようなソフト・ロック路線でソロ活動を始めたが、この3作目はディスコ路線にシフト。プロデュースを手掛けたのは、ドナ・サマーやジョルジオ・モロダーのブレーンであるドイツ人エンジニア:ユルゲン・コッパーズとケニー自身だ。彼らの念頭には、おそらくその年のチャートを席巻していたビー・ジーズ旋風があったに違いない。収録曲は書き下ろしで、<Ride A Wild Horse>のみ75年に書いた楽曲のセルフ・ヴァージョン。それまでにディスコ・テックス、リンダ・カー、ディー・クラーク、アレックス・ブラウンらが歌っていた。聴きモノは前述の<You're So Beautiful Tonight>に加えて、まさにビー・ジーズの甘美なハーモニーを髣髴させる<Maybe I'm Mindless>、タヴァレスが83年作『WORDS AND MUSIC』で取り上げたバラード<Us And Love (we Go Together)>あたり。シンセ・ベースが面白い効果を上げるタイトル・トラックも、なかなかに興味深い。

録音メンバーは、同時期にケニーがプロデュースしていたディスコ・ユニット:ペルシャのリズム隊であるマイク・ミルウッド(b / 後にキーン)とデヴィッド・モービー(ds)、アンディ・ミルコフ(g)を中心に、ピーター・レイリッチ(kyd / 後にジェフ・ポーカロ制作でデビューするザ・ストランドを結成)、サックスのゲイリー・ハービッグ、グレッグ・マティソン(kyd)、 カーメン・グリロ(g)、ジョルジオ・モロダー・ファミリー御用達のミュージシャン集団ザ・リズム・マシーンからキース・フォーシー(ds)とマッツ・ビョークランド(g)、同じくモロダー人脈のソー・バルダーソン(kyd)、ホセ・フェリシアーノに近いボブ・コンティ(perc)など。

最近はメッキリとニュースを聞かなくなったケニーだが、できれば初期2作の再発を。