シティ・ポップ系の取材というか対談＠都内某所。普段クルマで動いている自分が、五輪の影響で電車を使わざるを得ず、しかもこの猛暑。オマケに今週〜来週とスケジュールがバンバン入ってきて、何だかなぁ〜。アスリートの皆さんには頑張って欲しいと思うが、自分にとってはコロナ禍の五輪なんて迷惑なだけ。それも復興五輪の「ふ」の字もなく、アチコチで不祥事続き。経済大国ニッポンという看板が如何にハリボテだったかを世界に晒している。ワクチンの職域接種を見ればわかるように、民間活力は大したモノだと思うが、それをコントロールする政財界上層部がまるで前時代的。次の衆院選は国民一人一人が相当の危機感を持って臨まないと、ホントに日本は終わってしまうな。
なんてグチを垂れながら、来週【Light Mellow Searches】on P-VINEからリリースになるTOBBの本邦デビュー盤『OVERRATED』のご紹介をば。
TOBBことThe Original Bullshit Bandは、ノルウェーのAOR系大所帯グループ。北欧のセッション・シーンやTV業界で活躍するフリーのファースト・コール・ミュージシャンが集まり、1987年に結成された。しばらくはメンバー自身の趣味的バンドとしてライヴ中心に活動。07年の初作品もライヴ盤だった。３管のホーン・セクションを擁する８人組で、その編成からも分かるようにシカゴの影響が強い。
そのTOBBが注目を集めたのは、15年に発表した初のスタジオ・アルバム『TRUE TO OUR SOUND』から。そこには１曲ビル・チャンプリンがゲスト参加し、『CHICAGO 17』のアウトテイク＜Sweet Marie＞を提供していたのだ。更にチューブス＜Don´t Want To Wait Anymore＞のカヴァーも入っている。ビルは前後してTOBBの北欧ツアーにも同行した。自分がTOBBを知ったのも、こうしたビル・チャンプリンとの交流を知ったのがキッカケ。この新作『OVERRATED』は、その『TRUE TO OUR SOUND』から６年ぶり、２枚目のスタジオ・アルバムに当たる。
今回、日本発売を決めたのは、スウェーデンのユニット：バックマン・ヨハンソン＆ジ・アザーズのニュー・アルバム『CRAZY GAME OF LOVE』に TOBBの新ヴォーカリスト：フロード・ヴァッセルが参加し、１曲リード・ヴォーカルを担当していたことから。TOBBのメンバーは『TRUE TO OUR SOUND』とほぼ同様だが（でも結成時ラインナップは２人だけとか）、彼の脅威的な歌声がバンドに新しい可能性をもたらした、そうだ。
シカゴに強く影響を受け、バンド・フォーマットもシカゴに殉じるTOBB。でもそのサウンドは、往年のブラス・ロックの復活ではなく、デヴィッド・フォスター主導のバラード路線でもなく、80年代末期以降のシカゴに近い。つまり、ジェイソン・シェフ加入後のアリーナ・ロック的パワー・ロック・フォーマットを敷きつつ、その線上でアグレッシヴにホーン・セクションを鳴らしているのだ。個人的には、本来は22枚目として制作された『XXXII〜STONE OF SISYPHUS』（93年録音）に通じるスタイル。更にオーレ・ブールドを髣髴させるドライヴ感抜群の＜Sexually Overrated＞、フロードのハイトーン・ヴォイスが何処か故ファーギー・フレデリクセン（TOTOの２代目シンガー）を思い出させるエナジー・チューン＜Out of Control＞もある。ミディアム〜スロウ系の楽曲も、いわゆる甘くてロマンティックなバラードではなく、心の葛藤を表現する内省的で硬派の仕上がり。
カヴァー曲も１曲用意され、ニック・カーショウの3rdアルバム『RADIO MUSICOLA』（86年）から＜Running Scared＞を取り上げている。カーショウといえば、大ヒットした2nd『THE RIDDLE』が思い出されるが、今回カーショウを取り上げた意味は他にありそう。ニックの４thアルバム『THE WORKS』をプロデュースしたのが、シカゴ『XXXII〜STONE OF SISYPHUS』を手掛けたピーター・ウルフだったのだ。彼らがそれを意識していたかどうかは分からないが、サウンド的なベクトルは見事に重なっていたコトになる。
『STONE OF SISYPHUS』がお蔵入りして以降の本家シカゴに、いろいろ不満を抱いてしまうファンは少なくないと思うが、そういう人こそ余計に快哉を叫びたくなってしまうであろうTOBB。スティーリー・ダンに続いてフォロワーが多いシカゴだけれど、その中でも独自のスタンスが彼らにはある。
ちなみにオリジナル盤のアートワークは灼熱の赤。ボーナス・トラック入りの国内盤は、少し涼しげにグリーンを選びました。何れにせよ、シカゴ好きは要チェックよ。
TOBBことThe Original Bullshit Bandは、ノルウェーのAOR系大所帯グループ。北欧のセッション・シーンやTV業界で活躍するフリーのファースト・コール・ミュージシャンが集まり、1987年に結成された。しばらくはメンバー自身の趣味的バンドとしてライヴ中心に活動。07年の初作品もライヴ盤だった。３管のホーン・セクションを擁する８人組で、その編成からも分かるようにシカゴの影響が強い。
そのTOBBが注目を集めたのは、15年に発表した初のスタジオ・アルバム『TRUE TO OUR SOUND』から。そこには１曲ビル・チャンプリンがゲスト参加し、『CHICAGO 17』のアウトテイク＜Sweet Marie＞を提供していたのだ。更にチューブス＜Don´t Want To Wait Anymore＞のカヴァーも入っている。ビルは前後してTOBBの北欧ツアーにも同行した。自分がTOBBを知ったのも、こうしたビル・チャンプリンとの交流を知ったのがキッカケ。この新作『OVERRATED』は、その『TRUE TO OUR SOUND』から６年ぶり、２枚目のスタジオ・アルバムに当たる。
今回、日本発売を決めたのは、スウェーデンのユニット：バックマン・ヨハンソン＆ジ・アザーズのニュー・アルバム『CRAZY GAME OF LOVE』に TOBBの新ヴォーカリスト：フロード・ヴァッセルが参加し、１曲リード・ヴォーカルを担当していたことから。TOBBのメンバーは『TRUE TO OUR SOUND』とほぼ同様だが（でも結成時ラインナップは２人だけとか）、彼の脅威的な歌声がバンドに新しい可能性をもたらした、そうだ。
シカゴに強く影響を受け、バンド・フォーマットもシカゴに殉じるTOBB。でもそのサウンドは、往年のブラス・ロックの復活ではなく、デヴィッド・フォスター主導のバラード路線でもなく、80年代末期以降のシカゴに近い。つまり、ジェイソン・シェフ加入後のアリーナ・ロック的パワー・ロック・フォーマットを敷きつつ、その線上でアグレッシヴにホーン・セクションを鳴らしているのだ。個人的には、本来は22枚目として制作された『XXXII〜STONE OF SISYPHUS』（93年録音）に通じるスタイル。更にオーレ・ブールドを髣髴させるドライヴ感抜群の＜Sexually Overrated＞、フロードのハイトーン・ヴォイスが何処か故ファーギー・フレデリクセン（TOTOの２代目シンガー）を思い出させるエナジー・チューン＜Out of Control＞もある。ミディアム〜スロウ系の楽曲も、いわゆる甘くてロマンティックなバラードではなく、心の葛藤を表現する内省的で硬派の仕上がり。
カヴァー曲も１曲用意され、ニック・カーショウの3rdアルバム『RADIO MUSICOLA』（86年）から＜Running Scared＞を取り上げている。カーショウといえば、大ヒットした2nd『THE RIDDLE』が思い出されるが、今回カーショウを取り上げた意味は他にありそう。ニックの４thアルバム『THE WORKS』をプロデュースしたのが、シカゴ『XXXII〜STONE OF SISYPHUS』を手掛けたピーター・ウルフだったのだ。彼らがそれを意識していたかどうかは分からないが、サウンド的なベクトルは見事に重なっていたコトになる。
『STONE OF SISYPHUS』がお蔵入りして以降の本家シカゴに、いろいろ不満を抱いてしまうファンは少なくないと思うが、そういう人こそ余計に快哉を叫びたくなってしまうであろうTOBB。スティーリー・ダンに続いてフォロワーが多いシカゴだけれど、その中でも独自のスタンスが彼らにはある。
ちなみにオリジナル盤のアートワークは灼熱の赤。ボーナス・トラック入りの国内盤は、少し涼しげにグリーンを選びました。何れにせよ、シカゴ好きは要チェックよ。
