jeff lorber fusion 021

近年のクロスオーヴァー/フュージョン・アクトで、最も安定した活動ぶりを見せているジェフ・ローバー。安定している、というのは、コンスタントにリリースを続けている、というコトだけに止まらず、充実した作品を出し続けている、という意味に於いても。特に2010年にジェフ・ローバー・フュージョンの名称を復活させてからは、11年で8枚目のアルバム。17年さく『PROTOTYPE』はグラミーにも輝いた。マイク・スターンとの共同名義だった前作『ELEVEN』からは、約2年弱のインターヴァルでの新作になる。

オリジナル期のジェフ・ローバー・フュージョンが、後のケニーGことケニー・グレゴリックをフィーチャーしていたせいか、復活後もエリック・マリエンサルやボブ・ミンツァー、アンディ・スニッツァー、ゲイリー・ミークなどサックス奏者をフィーチャーしてきた感がある。しかしマイク・スターンとコラボしたのがターニング・ポイントになったか、その呪縛から逃れたようで。本来、復活早々にジミー・ハスリップをイエロージャケッツから移籍させて参謀役に据えた時点で、そうなっても良かった気がするが、やはりジェフには、サックスに対するコダワリが強かったのかもしれない。

今回ジェフ、ジミーに次ぐ3人目のメンバーに収まったのは、サックスではなくドラムのゲイリー・ノヴァック。ジェフ・ローバー・フュージョンでは以前から準レギュラー的存在だったので、昇格したカタチかな? 『ELEVEN』ではヴィニー・カリウタやデイヴ・ウェックルも叩いていたし。

で、この新作『SPACE-TIME』では、このレギュラー3人をベースに、ボブ・ミンツァー、マイケル・ランドウ、ヒューバート・ロウズらをフィーチャー。曲によってロベン・フォード、ポール・ジャクソンJrも参加している。個人的にオオッ!と思ったのは、ジェラルド・アルブライトがサックスではなくベースで1曲参加していること。よくよくクレジットを確認すると、名手ジミー・ハスリップがいるにも関わらずジェフがシンセ・ベースを並奏させている曲も多く、今回はそうしたグルーヴ感、疾走感に出すことに注力している感じがする。

そもそも、スムーズ・ジャズ全盛期に “ジェフ・ローバー・フュージョン” の名を復活させた人だ。そこにはスムーズ・ジャズに対するアンチテーゼの気持ちが込められていたはず。実際ここまでの充実ぶりは、生のバンド・スタイルにこだわって古き良きジャズ・フュージョンの魅力を問うてきた、そのアグレッシヴなスタイルにあったと思う。その辺りがマイク・スターンと共鳴したのだろうし、この新作にもヤワなヴォーカル・チューンは一切出てこない。それでいてファンキーかつキャッチー、スリリングなのに心地良いポップ・ジャズ・スタイルを貫いているあたりが、さすがジェフ・ローバー。スムーズ・ジャズとは似て非なるモノ、という立ち位置が、何とも頼もしい。