jimsaku_beyond

神保彰と櫻井哲夫によるユニット:JIMSAKU(ジンサク)の結成30年記念アルバム。デュオ名義のリリースとしては、23〜4年ぶりになるのかな? 19年の神保還暦記念ライブに櫻井が出演し、21年ぶりにJIMSAKU復活。それを機にいろいろアイディアが出てきたみたいで、翌20年5月に『JIMSAKU 30thプロジェクト』がスタート。『JIMSAKU IN THE HOUSE』なるリモート・セッション動画が公開され、デビュー30周年記念日前夜の今年7月24日には、youtubeで『JIMSAKU IN THE STUDIO』が配信された。それに続いてのジンサクのシンサク(新作)リリースである。

オリジナル期末期は、正直ネタをやり尽くし、苦し紛れに角松敏生にプロデュースを委ねたり、ドラムン・ベースに挑戦した2人。でも結局そのままコンビは消滅に向かい、神保はソロ活動の傍ら、再び野呂に引っ張られて、カシオペアのサポート・メンバーを務めるように。数年間の解散を経て復活したカシオペア3rd に於いても、野呂は神保を傍らに置いた。まぁ、それはイイのだけれど。

ただ、メンバーたちが何処まで自覚しているのは分からないけれど、ヨーロッパや北欧の若手ミュージシャンと話していると、彼らが一様にカシオペアからの影響を口にするので、結構頻繁に驚かされる。大抵は親が音楽好きで、家にカシオペアのレコードがあったとか、親父は若い頃楽器を演っていて、カシオペアのライヴを観たらしい、とか。そこでスクエアやプリズムの名前を聞いたことはないけれど、カシオペアの名はよく出てきて、しかも<Galactic Funk>サイコーとか、<Domino Line>はコピーしたとか、かなり熱量が高い。そしてそこでまず聞かされるのは、アキラ・ジンボ。続いてテツオ・サクライで、野呂一生の名はまず出てこない。要するにリズム面の評価が高いのだ。

もちろん、神保さんがワンマン・オーケストラで世界各地を公演して回っている影響はあるだろう。でもやっぱり、彼らの在籍期/80年代カシオペアの人気は絶大で、英国〜ヨーロッパ〜北欧あたりの音楽好きには定着している。彼らにしたら、レヴェル42と同じような扱いなのだな。

そんなコトを思いながら、このコンビの期間限定復活作を聴いた。Shiho (ex.fried pride)がスキャットでハジケるジャズ・ファンク・チューン<INSPIRATION >、ジンサクの初期コンセプトの主軸ラテン・フュージョンの<JIMSAKU BEYOND>、そこにオルケスタ・デ・ラ・ルスのヴォーカル:NORAを迎えた<TE AMO>と、スタートから往年の彼ららしさ全開の熱いトラックが連発。

それをなだめるような櫻井作のメロウ・フュージョン<THE ROAD OF THE WIND>の味わい深さに参っていると、軽くポップなヴォーカル・チューン<FARAWAY>にビックリ。自分の世代だと、アイディアの元ネタはデビュー当時の高中?なんて思ってしまうが、今コレをやる勇気に大いに敬服。歌っているのは、神保さんですかネ? 

スラップが大炸裂するインストは、プレイヤーズ・ユニットとしては、まぁ、アリなんだだろうけど、見逃したくないのは、ラストの<ASIAN ISLAND>や<アイノヒカリ>のようなクロスオーヴァー・チューンだ。前者は全盛期カシオペアを髣髴させるスピード感を持ち、後者は高松愛のヴァイオリンをフィーチャーしているが、共にメロディや空気感が大らかで、ゆったりしたスケールがワールドクラス。国産フュージョン・バンドのように、緻密に作り込み過ぎてチマチマとせわしくない。

シティ・ポップ・ブームの余波か、カシオペア脱退のキッカケになったヴォーカル・プロジェクト:SHAMBARAも再評価機運に乗っているらしいが(アナログのシングル/LPがHMV限定再発)、やはり神保=櫻井は、一緒にリズム隊を組んだ時にある種のケミストリーを放つ気がする。でもそれはラテン・フュージョンやポップ・ヴォーカルものよりも、やはりジャズ・ファンク・スタイルの時に一番威力が増すようだ。