david crossby_for free

ブラジル物だ、シティ・ポップのアナログだ、とうつつを抜かしていたら、急に秋めいて9月に突入。諸々ヤバイっす このブログで紹介しておくべきアイテムも、まだブラジル物で紹介したいタマがあるのに、洋モノの新作も溜まってきちまった… というワケで、まずはデヴィッド・クロスビーの新作。豪華ゲストの参加もあって、AORファンの間でも注目されているが、実はこの人、テン年代中盤から結構イイ方向に変わり始めてて、それがいよいよココまで来たか、という感じ。

クロスビー・スティルス&ナッシュ(or &ヤング)解散後の約40年で、ソロ・アルバムはわずか3枚。確かに再結成盤やグレアム・ナッシュとのデュオなどはあったけれど、他の元メンバーに比べたら寡作もいいトコで、しかも醜聞多数。それが「今度のクロスビー、意外とイイよ」と耳にし、CDを手にしたのが16年の『LIGHTHOUSE』だった。すぐには気づかなかったが、このアルバムはスナーキー・パピーのマイケル・リーグがプロデュース。フォークの中にジャズ要素を匂わせるクロスビーには、格好の組み合わせだった。

それから1年も経たないうちに出た『SKY TRAILS』は、新作と同じく息子ジェイムス・レイモンドの制作。マイケル・マクドナルドとのコラボ、ダニー・コーチマー&イミディエイト・ファミリーでの活躍するスティーヴ・ポステル(g.cho)の参加、そしてジョニ・ミッチェルのカヴァーと、アルバム『FOR FREE』(このタイトル曲がまさにジョニ作)に於ける注目ポイントは、実はもうこの時点で始まっている。

今回、一番の話題になっているドナルド・フェイゲンとのコラボ<Rodriguez For A Night>も、『SKY TRAILS』に伏線があった。息子ジェイムスが書いた<She's Got To Be Somewhere>で、スティーリー・ダン所縁のディーン・パークスやウォルト・フォウラーを招き、スティーリー・ダン・オマージュを演っているのだ。だから新作でのフェイゲンとの共作も、まさに満を持して。そうした方策が、かつての悪いイメージを払拭して、徐々に音楽ファンに浸透してきたと言える。

アートワークも旧知のジョーン・バエズが描いたそうだし、80歳のオヤジが息子に触発されて、職人の輝きを取り戻す。放蕩オヤジ覚醒す、だな