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シカゴの新しい編集盤が間もなく。日本独自企画による『JAPANESE SINGLE COLLECTION -GREATEST HITS-』。なんだ、またベスト盤かよ、なんて言うことなかれ。まずコレは2CD+DVDという変則3枚組。しかもシカゴ一筋ウン十年?の音楽評論家:伊藤秀世氏が関わり、米国編集のコンピレーションとは異なる、ひと筋縄ではいかない内容になっているのだ。

その違う部分を抜き出すと、テリー・キャスが存命中の頃をまとめた Disc 1 に集中しているのが分かる。

まず<Questions 67/68>のモノラル・ミックス、日本独自のエディットで出されていた<25 Or 6 To 4(長い夜)><Someday (流血の日)><State Of The Union(俺たちのアメリカ)>とUSエディットの<Little One>、この計5曲が世界初CD化。そして<You Are On My Mind(君のいない今)>US エディットが日本初CD化。とりわけ日本で編集がなされた3曲は、当時のAM深夜放送でオンエアされやすいように、日本担当者決済で勝手に編集したという、言わば非公式編集だ。当時のシカゴを出していたのはCBSソニー、現在はワーナー系のライノと、所属レーベルも違うわけで、案の定マスターなど存在しない。ところが逆に、非公式日本編集版に合わせて新たに音源を作ってくれるコトになって、当時のままの全シングルが揃ったそうだ。もちろん<Questions 67/68>と<Lowdown>の日本語ヴァージョンも入っています。

でもアラ還のカナザワでさえ、オンタイムで親しんだのは『CHICAGO VIII(未だ見ぬアメリカ)』からのシングル<Old Days>あたり以後で、<25 Or 6 To 4>や<Saturday In The Park>は過去のヒット曲として知った。ちゃんとアルバムを買ったのは、Disc 2のアタマになっている<Alive Again>が入った『HOT STREET』が最初。だからそこまでコダワられても…。おそらくその意味が伝わるのは、 60代後半のジジババ世代と相当なシカゴ・マニアだけなんじゃないかと思うが。でもメンバーとの交友関係を生かして、リー・ロックネインにサポートを頼んでおいたという伊藤氏の熱意には、ただただ平伏すしかない。

そして世代的に一気に馴染みが深くなるDisc 2。個人的に大好きな<Take A Chance>が日本独自のシングルA面(USではB面)だったとか、<Street player>がシングルに切られていなかったことを再確認する一方で、『19』や『21』のシングル曲はビル・チャンプリンのリードが多かったと気づいたりも。デヴィッド・フォスターがプロデュース、ピーター・セテラが歌うバラード・ヒット群よりこの辺に愛着があるのは、きっとそこに原因があるのかも。

Disc 3 のDVDは、『HEART OF CHICAGO -THE VIDEO』をベースに、『19』の<I Don't Wanna Live Without Your Love>、『21』の<Explain It To My Heart>のPVを追加収録。更に現行メンバーによる2019年ライヴから4曲をシュートしている。だけど既存のクリップ集も持ってないし、MTVもほとんど観ていなかったので、映像的には『16』『17』の頃のモノはとても懐かしく、恰幅が良かった頃のビル・チャンプリンを見て思わず吹き出したり。また今更ながらに、当時のギタリスト:ドウェイン・ベイリーのプレイはカッコ良かったことを思い出した。もっともクリップでは、マイケル・ランドウやダン・ハフらのソロのアテレコだけど。いずれにせよクリップは80年代以降のモノばかりだから、コレを観てると、とてもホーン・セクションを擁するバンドには思えん…

最近のライヴでは、以前はシュッとしてたキース・ハウランド(g)が、いつの間にか腹にギターを乗せて弾くようになっていて驚愕した。まぁ、オリジナル・メンバー3人を除くと、95年に加入した彼が最古参。腹も出るはずだ。もっとも在籍26年で、純然たるオリジナル新作は、2枚だけだけど…

そうした意味では、かなり現役感が薄くなってしまった感が強いシカゴ。古き良き時代を振り返ってノスタルジーに浸るなら、コレはまさに格好の編集盤といえる。