gabor szabo 70

ハンガリー生まれのジャズ・ギタリスト、ガボール・ザボが70年にリリースしたブルー・サム移籍第1作『MAGICAL CONNECTION』が初CDされた。ジャズ・ギタリストといっても、オーセンティックなジャズからは程遠いスタイルを持った人で、ジプシー・ジャズと呼ばれたり、インド音楽との融合も。ヴィブラフォン奏者ゲイリー・マクファーランドに近く、カル・ジェイダーを含む3人でスカイ・レーベルを立ち上げ。ハイブリッドでイージー・リスニング的な新しいジャズ・フォーマットを模索した。ソフト・ジャズとも呼べそうなそのユニークさは、ある意味 CTI以上。しかし長続きせず、ザボもトミー・リピューマらが立ち上げたブルー・サムに迎えられることになった。

あまり語られることはないが、トミー・リピューマにとってのザボは、自分を成功に導いたキーパーソンの一人だったと思う。ブルー・サムでザボが作ったのは、この『MAGICAL CONNECTION』と、次の『HIGH CONTRAST』の2枚。その後者に、あの名曲<Breezin'>が入っていた。ボビー・ウーマックの作品ということは広く知られているが、実際はボビーがザボに書き下ろした楽曲で、『HIGH CONTRAST』が初出。でもリピューマの頭には、この曲が強く印象に残っていたのだろう。数年後ジョージ・ベンソンの充てがうワケである。ベンソンのセッションに参加したフィル・アップチャーチも、既にザボ版に参加している。

そのベンソンを始め、アル・ジャロウにベン・シドラン、マーク=アーモンド、ブレンダ・ラッセル、ニール・ラーセン、ジョー・サンプル、コンポーザーならレオン・ラッセルとか…。所属レーベルを変遷しても、お気に入りにはタイミングを見計らって何度もアプローチを仕掛けるのがリピューマ流。ザボもまた、その対象となったミュージシャンであった。

『MAGICAL CONNECTION』のセッションに参加したのは、アレンジでニック・デカロ、ドラムにジム・ケルトナー、ベースにウルフガング・メルツ、鍵盤リチャード・トンプソン、パーカッション:フラーコ、エンジニアにブルース・ボトニックら。名の通った人は意外に多くないが、演奏スキルより表現力の豊かさがザボのスタイルからだろう。<Close To You>は言うまでもなくバカラック=ハル・デヴィッド作でカーペンターズでも有名なアレ。タイトル曲はジョン・セバスチャンのカヴァー。

ちなみに、森にホウキが立て掛けてあるアートワーク、これ実は、樹々が描かれたスタジオのスクリーンを使ったニセモノ。しかもジャケにはアーティスト名もタイトルも見当たらず、当時はシュリンクの透明ビニールにそれがプリントされていたそうだ。そしてゲートフォールドを開けると、中にはメンバーがジョイントを吸ったり、鼻から吸引中の現場写真が。なるほど、コレがマジカル・コネクションというワケか。