amii_bon appetitamiiのコピー

先週リリースされたばかりのデビュー45周年を記念したニュー・アルバム『Bon appetit(ボナペティ )』をフィーチャーしてのライヴ『尾崎亜美45th Anniversary Concert 〜Bon appetit〜』@EX THEATER ROPPONGI へ。うっかりCDをゲットする前にライヴ当日を迎えてしまったので、サクッとサブスクでチェックだけ。台風直撃の可能性もあったけれど、さすが超晴れオンナの亜美さん。進路が逸れて、雲間から日差しが射したり、シャワーのような雨が降ったり、という中、首都高を飛ばして六本木へ向かった。

結果的に緊急事態宣言の延長期間に入ってしまったが、本来このライヴは「緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置解除後の経過措置」にあたる興行としてチケットが販売され、亜美さんのライヴは「100%収容」が許可されたとか。延長決定と同時に販売中止になったものの、その時点で既にほぼソールド・アウトだったという。なのでシアター内は、おおよそフル・ハウス。コロナ前は当たり前だった光景を、まさに1年半ぶりに見たワケで、ちょっと胸が熱くなった。

今回のサポート・メンバーは、ご主人の小原礼(b)を筆頭に、林立夫(ds)、鈴木茂/是永巧一(g)、斎藤有太(kyd)、Aisa(cho)という布陣。去年のライヴとは kydが変わったが、斎藤有太も亜美さんライヴでは準レギュラーなので違和感はない。そしてゲストに、何とSKYE(小原・林・鈴木+松任谷正隆)。個人的には去年・今年のブレッド&バターで、同じようにゲスト出演した彼らを2度観ているけれど、メンバー全員70歳にしてのデビュー・アルバム発売が正式にアナウンスされ、リード曲の先行配信がスタートした今だと、ナマで聴ける喜びもひとしおと言える。

さて、亜美さんライヴは、ピアノ・バラード<私がいる>でしっとりと、でも地に足がついた感じで力強くスタート。最初だけチョッと声が出づらそうな感じがあったが、それもすぐに解消。デヴィッド・フォスター絡みの<Angela>〜<純情>メドレーで、すぐにオーディエンスのハートをガッチリ掴む。そして早くもニュー・アルバムから<Jewel>を披露。続いて松任谷がkydにつき、自らアレンジしていた亜美さんデビュー曲<冥想>を。この時のレコーディングにはミッチこと林も参加しており、3人で当時のセッション秘話を披露。でももう45年も前のコトなので、実はレジェンドな面々は当時のことをよく覚えてない、というコトも発覚して…

<冥想>に続いては代表曲<マイ・ピュア・レディ>。やっぱりこの辺は外せないな、と思っていると、亜美さんが一旦ハケて、今夜のゲスト:SKYEのコーナーへ。マンタさんが「亜美ちゃんの第一印象は宇宙人。そうしたらいつの間にか、親しいバンド仲間の奧さんになっていた」と笑い話を披露。来月出るアルバムから、生きのいいロックン・ロール・ナンバー2曲を繰り出し、亜美さんの弾き語りへ。新作のオープニング・ナンバーで、アルバムを作るキッカケになったという<メッセージ>が歌われる。一昨年ずっと介護していた母親を亡くしたことで心のバランスを崩し、それにコロナ自粛が重なって、“音楽の迷子”になっていたというのだ。天才肌のシンガー・ソングライターである彼女にとって、日々の暮らしから感動や発想を得てメロディを紡いでいく作業に、滞りが出てしまっていたらしい。それを亡き母親を思って書いたこの曲で取り戻したという。

これに続いて歌われたのが「蒼夜曲」。これを弾き語りで歌うことは、本人にもかなり躊躇いがあったそうだが、それはマジ、感動的だった。そして礼さんとのデュオで<オリビアを聴きながら>。今回のセットリストは、オフィシャル・サイトでファンから募ったリクエストを中心に組んだそうだが(新曲以外)、唯一この曲はリクエストがなかったそう。ファンの間では、もうそれくらいのド定番、ってコトです。

メンバーが全員ステージに戻ると、いわゆる新曲コーナー。亜美さんぐらいのキャリアになると、仮に新作を発表しても、ステージに掛けるのはせいぜい2〜3曲、というパターンが多いもの。でも今回は、ここまでで既に2曲。そしてココから5曲を立て続けに。自分にとってはほとんど初聞きみたいなモノだったのに、そこはもう完成された亜美さんワールド。意外性はまったくなく、どの曲のスンナリ耳へ入ってきた。それでも茂さんの滑るようなスライド・ソロに耳を奪われた< I'm singing a song>、再登場したマンタさんのアコーディオンが異国情緒を連れてきた<フード ウォーリアー>、是永さんがスタジオにあったマーシャルのアンプで爆裂ソロを弾いたというロック・チューン<Barrier>、そして のん(能年玲奈)に提供した<スケッチブック>には<メッセージ>に通底する想いが込められ…、と、それぞれに聴きどころがあって。

終盤の盛り上がりからアンコールへの流れは、亜美ファンにはお馴染みのフローだったが、しばし迷子になっていた亜美さんだけに、歌の節々、ピアノのタッチひとつひとつに熱い想い、強い感情が宿っているようで、普段のライヴ以上に伝わってくるモノがあった。もう何度となく観せてもらってる亜美さんライヴだけれど、近年のステージではダントツに充実したパフォーマンスだったと思うな。

遅まきながら手にした新作CDも、帰宅後、何度も繰り返し聴いて…。そしてこれもまた、ここ数作を凌駕するデキと言える。本編10曲中、このアルバムのための書き下ろしは3曲で、いずれもコロナ禍の心理を反映させていて。その他は比較的新しい外部提供曲のセルフ・カヴァー。レコーディングは自ずと自宅音楽部屋での作業が多かったらしいが、編集からミックスまで、とても丁寧に作られているのが分かる。楽器が少ない分、空間を有効に使って音を飛ばしたり、奥行きを持たせたり…。もしかしたら、コロナの影響があったからこそ、普段のプロダクツ以上に気を配ったのかもしれない。

DVDは昨年9月の、同じEX THEATER ROPPONNGIでのライヴから6曲。以下、ご参考まで。

【CD収録内容】
01. メッセージ ~It's always in me~
02. I'm singing a song(江原啓之 提供曲)
03. Jewel(観月ありさ 提供曲)
04. フード ウォーリアー
05. Barrier
06. 月を見つめて哭いた(広瀬倫子 提供曲)
07. 境界線を超えたのは僕だ(宇都宮隆 提供曲)
08. 潮騒(藤田恵美 提供曲)
09. To Shinning Shinning Days( chayotes 提供曲)
10. スケッチブック(のん 提供曲)
= ボーナス・トラック=
11. 明和の風 吹きぬける時(東京都中野区立明和中学校 校歌)

下は、おそらく亜美さんご自身が作ったと思われるセットリスト
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amii_setlist