yes_the quest

ここ10年くらいにリリースされたオフィシャル・ライヴ盤だけでもアップアップしているのに、最近は、躍進のキッカケになった72年のUSツアー7公演を丸ごと収めたCD14組『PROGENY』とか、8人で回った91年『UNION』ツアーの30枚組ボックス『UNION 30 LIVE』とか、もう完全にギブアップ。それでも前作『HEAVEN & EARTH』から7年ぶりのスタジオ新作となれば、やっぱりソワソワする。しかも最初から、通常盤と5.1chミックスやハイレゾ音源を収めたBlu-ray Disc付き3枚組の併売と言うから、余計にムズムズ。通常CDはサクッと何度か聴いたけれど、締切が差し迫っていた仕事を終わらせたタイミングで、サウンド音源を爆音で聴いてみた。

オープニング<The Ice Bridge>のイントロからいイキナリ飛び出すシンフォニックなシンセに、あら、これはエイジアぢゃん…?なんて。最初に聴いた印象は、イエスもずいぶん取っ付きやすくなったな、というもの。シンプルという言葉が似合うサウンドではモチロンないのだが、いつもの蹴つまずきそうな変拍子がないし、音は厚くても構成はスッキリ。そのくせアレンジの随所に、モロ 往年のイエスを髣髴させるフレーズやパートが たっぷりと仕込まれている。

考えてみれば、唯一、バンドの看板から いっ時も離れなかったオリジナル・メンバーのクリス・スクワイアーが急性骨髄性白血病で逝ってしまってからの初アルバム。後任は、以前からサポート・メンバーとして関わっていたビリー・シャーウッド。アラン・ホワイトが腰を悪くしてマトモにドラムを叩けない時期に代役を果たしたジェイ・シェレンも、パーカッションで参加している。ジョン・アンダーソンにクリソツな奇跡の歌声:ジョン・デイヴィソンも、実はまだスタジオ2作目。kydのジェフ・ダウンズだって、イエスでは外様みたいなモノだから、自ずと主導権はスティーヴ・ハウに集まった。だがコロナ禍で全員が一堂に顔を合わせることができない、かなり変則的レコーディング。だからそうして強力な推進役が自然に生まれたコトが、このアルバムを成功に導いたと思う。余計な装飾が少なく、リズムがストレートになったのも、みんなで曲をイジリ回すことがなかったから。アチコチに往年のイエス色が覘くのも、やはりスティーヴ・ハウのイニシアチヴゆえ、だろう。そういえば、特にギターがそれっぽいな。

マルチ・ミックスに関しては、そもそも耳慣れたアルバムを5.1chにリミックスしたのを聴く機会がほとんど。こうして最初から新作を5.1chで聴く機会はあまりない。それだけに、奇をてらったトコロのないマルチ・ミックスに好感。リズム隊とメインのギター、ヴォーカルは、ほぼフロントに固定し、鍵盤類やコーラスをリアに振るのがデフォルトのようだ。S.E.の類いはほとんどリアで、迫力を演出する。

何れにせよ、イエスの新作で、聴いた途端 こんなにシックリくるアルバムって、個人的にはゼロ年代以降で初めてだな。