akiko yano 021

ふと思い出したように矢野顕子 最新作。45周年記念の『さとがえるコンサート2020』ライヴBlu-rayが付いた初回限定盤をゲットしたが、ドタバタでまだ観られていないので、とりあえずオリジナル新作盤だけの感想。そもそも自分はアッコさんの熱心なリスナーとはいえず、アルバムが出たらいそいそとチェックする、というコトもない。彼女の天賦の才とか強い存在感とか、自分が理解できるキャパシティを完全に超越している感があって、聴いててちょっと疲れてしまうのだな。だから90年代に入ってから、徐々に距離ができてきて、アルバムとしては聴いたり聴かなかったり…。

だから、今作のようなバンド・サウンドで作られたアルバムはとても馴染みやすい。ピアノの弾き語りだと野放し状態になる感性の迸りが、ある程度アンサンブル化されるから。ましてバックを務めるのが、林立夫、小原礼、佐橋佳幸の3人。ジャズ系ミュージシャンと組めば、彼女の自由度はある程度担保されるワケだが、こうしたロック〜ポップス系チームだと、どんなにキャリアや経験が豊富だとしても、運動場はどうしたって狭められる。そこに今回彼女が演ろうとしたコトが見えてくる。それには、作品化された『さとがえるコンサート2014』(発売は15年)でコラボしたティン・パンではなく、少しだけ平均年齢を下げて、アッコさんが遠慮なしにコントロールしやすくする必要があったのではないか。

でもそうした甲斐あって、アッコさんとバンドのバランス感が絶妙で。きっと彼女には、このメンツで演りたい理由があったのだろう。ネイキッドなアコースティック表現をしたかったのなら、ウクレレ、マンドリンにドブロまで持ち出してくる佐橋さんは最適。<遠い星、光の旅>のグイ乗りベースも、やっぱり礼さんならでは、だ。それこそ<なにそれ>のセカンド・ラインは、ミッチさんいてこそのアレンジに間違いない。

楽曲的には、81年の村田有美への提供曲<わたしのバス>の改作した<わたしのバス (Version 2)>、そして痛快な換骨奪胎状態の<津軽海峡・冬景色>に仰け反って。タイトル曲にはMISIAがゲスト参加しているが、アッコさんに呑まれてしまったか、正直、影が薄いっス…