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ビートルズ『 LET IT BE』スペシャル・エディション(スーパー・デラックス)5CD+Blu-ray Audio、ようやくひと通り聴き終えた。一番の目的は、言うまでもなく『GET BACK』のグリン・ジョンズ・ミックスと、Blu-ray Audioの5.1chミックス。今となっては『ABBEY ROAD』が一番好きなアルバムだけれど、ビートルズを聴き始めた最初はシングルでコツコツ集めていて。それでアルバムとして一番最初に買ったのは、『LET IT BE』だったのよ。当時 真っ先に好きになった曲が<Yesterday>と<Let It Be>、<The Long And Winding Road>という、実に分かりやすい少年だったから…

アルバムとしては久しぶりに聴いた『LET IT BE』。これまでのアナログ盤や09年のリマスターCD、あるいは『NAKED』との聴き比べなどはしてないが、ニュー・ミックスの印象はスンナリ聴きやすい感じ。ビリー・プレストンのエレピとかは、少し奥へ引っ込んだかな? CD2〜3のセッションやリハーサルは、ある種覗き見なので、そもそもあまり期待してなかったから、まぁこんなモノでしょう。

そして第一の目的、幻と消えた未発表アルバム『GET BACK』を、当時のまま聴けるグリン・ジョーンズ・ミックス。ブート等では既に聴けた音源だけど、やっぱりこんなモンだよなぁ〜。言ってしまえば、一発録りのスタジオ・ライヴで。オーヴァーダビングもしていない。でもこのセッションは、それが最初のコンセプトでもあったワケで、グリン・ジョンズはそれを忠実に遂行しただけなのだ。だが、あまりにラフな演奏、ドキュメンタリー的な内容にメンバーがNGを出し、マスターテープをフィル・スペクターに委ねる。そりゃそうだ、<Don’t Let Me Down>なんてジョンの歌がまだ固まってなくてフェイクしちゃうし、<Dig A Pony>も笑って歌ってるんだから。

つまりこの時点で、大きな方針変更があったワケで。逆にコレを元に『LET IT BE』に仕上げたスペクターの力技がスゴイのだ、としか言いようがない。ポールが<The Long And Winding Road>のストリングス追加に異を唱えた、というのは有名な話だけれど、それはセッションの原案を出したポールが考えを変えざるを得なくなり、そのストレスをブツけたのだろう。好みの問題はあれど、<Winding Road>のオーケストレイションがヒドイものだとは全然思わない。

5.1chミックスも、ハッタリじみたサラウンド・ミックスではなく、比較的オーソドックスと言える。ドラム、ベース、ジョンのリズム・ギター、ポールのピアノなどはフロントに定位。ヴォーカルは完全に真ん中に鎮座している。対してジョージのリード、ビリー・プレストンの鍵盤、そしてオーケストラの類いはリアから。ステレオ・ミックスでは何を弾いているのか分かりにくかったジョージのギターやビリーのエレピが、面白いほどよく聴こえる。スペクターのオーケストラ・サウンドは、まさしくヴェールのよう。

来月オンエアされる3日間のドキュメンタリーは観られそうもないから、早くDVDで出してくれい。