keiko matuyama

昨日に引き続き、ビクター『マスターピースコレクション〜 CITY POP名作選〜』第2期17作から、やはりカナザワが解説を担当させてもらった丸山圭子『MORE 愛 +1』を。1981年発表の通算8作目で、ビクター/ZENレーベルへ移籍後の3枚目。第1期発売分『MISS LONELY』に引き続いての執筆だったので、今回はご本人にお出まし戴き、メール・インタビューをお願いした。

「この『MORE・愛』は、それまでのアルバムより、女性の立場を意識したメッセージ性のある作品が並びました。アルバム・コンセプトとして、引っ掛かりがあるような、インパクトの強い曲が並ぶ仕上げになっています」

歌謡ボッサ<どうぞこのまま>が大ヒットし、アンニュイなムードや清楚で淑やかなイメージが定着していた彼女だが、80年代に入って開放的で活発なヤング・カルチャーが台頭したのに合わせ、新しいテイストを打ち出すことに。その最大の変化が、前作『MISS LONELY』に於ける、USウエストコ―スト・サウンドを意識した明るくフレッシュなイメージ・チェンジ。そしてココでは、オリジナルにこだわっていた彼女が洋楽カヴァーにトライした。歌ったのは、バーブラ・ストライサンドの全米No.1ヒット<Woman In Love>(80年)。彼女自身のお気に入りで、すぐに日本語詞が閃いたそうだ。

<My Love>ではアカペラにも挑戦。コーラス・アレンジも圭子さん自身だが、当時の彼女はシンガーズ・アンリミテッドやマンハッタン・トランファーなど、コーラスものが大好きだったそうだ。そこからロック色の強い<高いビルの窓から>に繋がる演出も、ご本人のアイディアだった。また作詞家を立てた<AS TIME GOES BY>、アルバムのメイン・アレンジャー:佐藤準(当時の夫君)とのコラボ<MORE>と、カヴァー以外の楽曲にも外の血を入れるチャレンジを行なっている。<LIKE A BLUES><呟き>も、これまでになくブルージーなテイストで。

参加ミュージシャンは、佐藤準以下、渋井博(kyd)、鈴木茂/松原正樹/NOBODYの相沢行夫(g)、吉川忠英/笛吹利明(ac.g)後藤次利/岡沢茂(b)、林立夫/村上ポンタ秀一(ds)、浜口茂外也/斎藤ノブ(perc)など、相変わらず豪華。でもそんな中、後藤次利が2曲アレンジを担当したのが目新しい。ロック調やブルージーな曲が並び、従来のイメージから積極的にハミ出したのが、このアルバムの特徴だろう。ファッショナブルにイメージ・チェンジした作品が『MISS LONELY』なら、『MORE・愛』はもっと内省的な変化を迎えた作品と言えるかも。ご本人も「人として成長できたアルバムになった」と話している。

ボーナス曲<愛はメッセージ>は、同時期に出されたアルバム未収シングル。

これでビクター/ZENレーベルに残した2作が復刻されたことになるが、ビクターではもう1枚、移籍第1弾の『やさしさの香り』が手付かずのまま。その後トーラスから出した『誰かが私を愛してる〜LADY GOOD』『XANTHIPPE』と併せ、どこかのタイミングで復刻してほしいものだ。