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70年代ブリティッシュ・ハード・ロック界隈では、“B級” というのは一種の褒め言葉だ。トップ・クラスにはなれなかったが、どうにも愛着が湧いてしまう、そんな意味合いに於いて。70年代半ばに2枚のアルバムを残して消滅したストライダーというバンドは、まさにそうしたB級グループ。後々までシーンで活躍し続ける実力派メンバーを擁し、アルバムへの評価もそれなりに高かったのに、成功には届かなった。しかも弱小レーベルからのリリースだったため、1stは今回が世界初CD化。2ndは過去デジパックでのCD化があったが、ブートだ、イヤ正規盤だと物議を醸したコトがある。もちろん今回は、再発レーベルとして定評のある英Cherry Redからエアーメイル・レコーディングスへのライセンスによる正規紙ジャケ仕様盤だ。

このストライダーは、後にポール・ヤングのブレーンとして活躍するイアン・キューリー(kyd)と、ロッド・スチュワートのバンドでジム・クリーガン(元ファミリー)と並んで前面でギターを弾いていたゲイリー・グレインジャーを中心に結成されたグループ。2枚目には、やはりベイビース〜ロッド・スチュワート・バンドを渡り歩くトニー・ブロック(ds)も参加していた。

73年に発表された1st『EXPOSED』は、イアン・キューリーとゲイリー・グレインジャー+リズム隊の4人組として制作。ヴォーカルはキュリーが兼任していた。そのサウンドは、フリー、ハンブル・パイ、フェイセスといったR&B系ロック・スタイルを継承していて、ジャッキー・ウィルソン<Round And Round>やレア・アース<Get Ready>といったソウル・クラシックを熱っぽくカヴァーしている。特に9分近い<Get Ready>のドラマチックな展開は意欲的で、音楽的バックグラウンドの広さを示している。しかも喉を震わせるようなキュリーの歌声が、もろにロッド・スチュワートで。一般的な評価は2作目『MISUNDERSTOOD(第三世代)』(74年)の方が高いが、こちらはこちらでなかなか捨てがたい魅力を放っていた。

で、その2作目。英国の伝統的野外フェス:レディング・フェスティヴァルなどへの出演や、ディープ・パープル、ステイタス・クォー、ハンブル・パイのフロント・アクトとして注目されたストライダーだったが、セールス面では苦戦を強いられていた。そこで弱さを指摘する声があったリズム隊をチェンジし、新たにリード・シンガーを加入させることに。そこで入ってきたのが、スポンテニアス・コンパッション出身のドラマー:トニー・ブロック。同時加入のロブ・エリオットなるシンガーも、力感のあるシャウトを聴かせる本格派だ。

この新体制による『MISUNDERSTOOD』は、期待通りにスケールアップしたハード・ロック・アルバムになった。曲も演奏もガッツリとパワー・アップし、鍵盤専任となったキューリーもシンセやメロトロンを取り入れるなど、新しいチャレンジを行なっている。欲を言えば、歌える人が2人になったのだから、ユーライア・ヒープよろしく、もっとコーラスをうまく使えば良かったのに、と思うが、よりストレートなブリティッシュ・ハードを聴かせるようになったのは間違いない。

それでも成功しなかったのは何故だろう? シングル・ヒットに恵まれなったから? 新興レーベルでプロモーションが行き届かなかった? どちらも間違いではないだろう。でも一番はやっぱり、バンドとして突き抜けるような強力な個性を持てなかったのが原因だと思う。エリオットのヴォーカルもイイんだけど、ロッドやらポール・ロジャースやらデヴィッド・バイロンやらに比べたら随分とオーソドックス。バンドは同じようなレヴェルでも、フロントの持ち味で急浮上したモット・ザ・フープルみたいなインパクトも持ち得なかった。でもその辺りがB級のB級たる所以。ちょっと不器用なところがあるから、愛すべき対象になるのよ。

それにしても、ロッドに繋がるコトが多いバンドだな、と思ったら、マネージャーはフェイセスとの兼任で、ロッド独立を進めた人物だとか。なるほどね〜。