tinna_shinning sky

惣領智子と高橋真梨子によるデュオ:TINNA(ティナ)の音源発掘、完結編。今年初めに組まれた『BEST OF TINNA』への収録から溢れてしまった東芝EMI / Express在籍期の音源を集成したもので、徳間からのサントラ盤含め、TINNA名義のアルバムはこれで全部総ざらい、というコトになる。もちろんタイトル通りに、ファン待望、コレがないと始まらないという全日空CMソング、ニッポン放送『全日空ミュージックスカイホリデー』メインテーマ<Shining Sky>も収録。ステップス・レコードさん、グッド・ジョブ!

オリジナル・アルバムをリイシューするのではなく、編集盤2枚で東芝 / Express期4作品を俯瞰するカタチになったのは、そもそものリリースがちょっと変則的だったからだろう。徳間からのデビュー・アルバムが洋画『POLE POSITION』の日本向けサウンド・トラック盤。移籍して本格的デビュー作『LONG DISTANCE』(78年末)を出したはイイが、後続は再び映画『栄光のルマン24時 - 童夢挑戦の記録 - 』のサントラ盤『童夢 〜 DOME IS A CHILD'S DREAM』で、デビュー1周年リリースの『MONDAY MORNING RAIN』は、新録曲+ベストというシロモノだった。そして80年にオリジナル・フル・アルバムとしては2作目『1999』を出して、活動停止。翌年の惣領智子ソロ作では、彼女が妊娠中であることが明らかになり、しばし音楽活動を休止することになる。

そうした活動を俯瞰すると、TINNAはやはり、智子の当時の夫であるサウンド・クリエイター惣領泰則のアイディアを具現化するユニットのひとつ、というポジションが改めて浮かび上がる。ちょうどビクターのシティポップ名作選『マスターピース・コレクション』では、夫妻の活動母体であるジムロック・シンガーズ(ジムロックス)名義のアルバムが復刻されたし、智子ソロは、RCA時代の作品ならソニー・ミュージック・ショップで限定発売中。TINNA後のソロ『 IT'S ABOUT TIME』は本作同様、ステップスさんが復刻している。こうなると、残るはTINNAの母体でもあるブラウンライスの再々復刻ですかね?

この『SHINING SKY』では、全17曲中9曲が初CD化音源。サントラ『POLE POSITION』からも、レーベル枠を超えて<Let Me Love You (Ballad)>をボーナス収録している。最近コーラス・ユニットというとR&B系かゴスペル系、もしくはジャズ系と相場が決まっていて、こうしたMORスタイルのポップ・コーラスを聴かせる連中はほとんどいない。それこそサーカスとか、年季の入ったグループが思いつく程度。多様性を欠いているのは、ポップス・シーンも同じことだな。