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30年ぶりのモア・ザン・パラダイス、ニュー・アルバム・リリース記念スペシャル・ライブ『ANOTHER HEAVEN』@目黒Blues Alley Japan。メンバーの景家淳さんとは、カナザワが音楽ライター稼業を始める以前からちょっとしたご縁があって、その後SNSで再会。前後して鈴木雄大さんや今回のバンマス:安部潤さん(kyd)とも繋がっていたため、今回は何やら知り合いの多いライヴに。でも仲間内で楽しむのではなく、90年代に出した2枚が良かったから、ファンはもちろん、関係者にもずーっとモア・パラを愛でている人が多かった、というコト。ヴェニューで会った業界人と話すと、異口同音に「モア・パラ、好きだったんだよね〜」と言ってて、なるほど、その浸透度の深さを思い知った。

30年ぶりと書いたが、それはあくまでリリースの話。元々モア・パラは、アレンジの巨匠:船山基紀さんが「セルジオ・メンデスみたいなコトをやりたい」を発案し、それに呼応した3人:鈴木雄大、A-mi(鎌田英子)、景家淳で結成している。だから自ずとスタジオ・ユニット的側面が強く、ライヴはまったくやってなかったそうだ。しかし今回の活動再開に際しては、ソロ活動を行なっていた元レーベルメイト:村瀬由衣が新たに加わって、まずはアルバム発売と同時にライヴを演ろうと。そして新作レコーディングに参加したメンバーが集まり、コロナ禍を経つつ、この日のライヴになった。

このバックの顔ぶれが、安部潤(kyd, arr)、櫻井哲夫(b)、川口千里(ds)、杉村謙心(g)、山田智之(perc)と、まるでジャズ・フュージョンばりばりの強力メンツ。…っていうか、千里ちゃんバンドとか櫻井さんのバンドとかに近い顔ぶれで、アンサンブルが相当にゴツイ。そもそも当時のレコーディングもジンサク(櫻井・神保彰)がリズム隊。いわばラテン・フュージョンにオトナのハーモニー・ポップを乗せたようなスタイルだったから、いま現在の仕様だと、こういうメンツが自然だろう。アベジュンさんはこういうスタイルが一番得意なハズだし、パーカスの山田さんもブラジリアンなプレイヤー。千里ちゃんの、手数が多いのにしなやか且つ小気味良いドラミングも爆裂してた。もちろん櫻井サンの6弦ベースも大活躍。モア・パラ・メンバーたちは、口々に「やっと櫻井さんと一緒にステージに立てた」と感激していたな。個人的には、まだ20代前半らしいギターの杉村謙心が大収穫。ブラジリアンな生ギター・プレイも然ることながら、エレキでの空間プレイが滅法 気持ち良く…。Liquid Stella なるインスト・バンドのメンバーらしいけど、彼はこれから要注目だろう。まったく最近の若手ミュージシャンには、ホント、敏腕が多いワ

2部構成のショウは、1st Showは初期2作が中心、2nd Showは新作『ANOTHER HEAVEN』をメインに。スタート早々、A-mi のベイビー・ヴォイスを聴いて、一気に時計が逆回りした。ヴィーカルが一枚加わってハーモニーが厚くなったのは確かだが、モア・パラは元々ジャズ・コーラスを志向していたワケじゃなく、あくまでポップ・テイスト。雄大さんのさっぱり聴けるハイトーン、やっぱり好きだな。新加入の村瀬由衣も、自分のソロ・アルバムからコーラス向きの楽曲を披露。単に同じレーベル、というだけじゃなく、モア・パラ・メンバーが楽曲提供したり、同じようなラインナップを起用するなど、互いの交流が深かったから、活動再開で一緒に、というのは大いに納得できる。ある意味では A-mi はクセ声なので、ノーブルな女性ヴォーカル曲なら彼女の声の方が似合いそう…。って次があればの話だが…

終盤には、1st『MORE THAN PARADISE』でカヴァーしていたアストラッド・ジルベルト<Champagne And Caviar>も。新作からは、以前にはなかったフォーキー・チューン<トンネルの向こう>、対極的に同期を上手く使った<愛と疵>が印象的で。アンコールでは、新作で取り上げていたジョビンの<Dindi>を、雄大さんのギター1本でウェットに。ダブル・アンコールが掛かっての再登場も、用意した楽曲は出し尽くし、1st 最後に演った<Love Parade>をもう1回。やっぱりコレがモア・パラの真骨頂と言えるかな?

シティ・ポップ再評価が著しい昨今ながら、こういうラテンなフュージョン・ポップには普遍的魅力がある。一方で、一夜漬けのガキにはできないクオリティの高さがあるから、モア・パラも、ポジティヴ志向の音楽ファンにはもっと受け入れられて然るべきだろう。演る側にはメチャクチャ難易度が高い楽曲も、聴く側にはとても親しみやすく小洒落て聴こえる。それが良質ポップスの極意。GO TO TRAVEL再開の折には、旅行会社でも航空会社でもイイからチョッとしたタイアップでも欲しいところ。露出さえ増えれば、何処かで広く注目される可能性を秘めていると思うな。

そんなコトを思いながら下っていく、少しだけ賑わいが戻った権之助坂…。

MOAPARA