spa cherri windy live

前作『ROXY』から約2年。伊藤銀次、杉真理、村田和人、岩沢幸矢(ブレッド&バター)、庄野真代、鈴木雄大、黒住憲五、二名敦子、今井優子など、ライヴ現場で数多くのベテラン・アーティストと共演を重ねて成長してきたSPARKLING☆CHERRYは、このコロナ・パンデミックを、豊富なキャリアを持つシンガー・ソングライター濱田金吾との定例スタジオ・セッションでくぐり抜けてきた。その金吾さんをプロデュースに迎え、1年半に及んだスタジオ経験を凝縮した集大成的アルバム『WINDY』のリリース・パーティーがこの日、六本木CLAPSにて。当初の予定では12月初めにCDをリリースする予定だったのに、ジワリジワリとリリースが延び、結局発売当日のライヴ開催に。…というコトは、配信先行のリード2曲を除くと、オーディエンスには初披露の新曲が多くなるという演る側には厳しいパターン。でもスパチェリ・ファンは耳が肥えているのか、あるいはあったかく迎え入れてくれてるのか(きっと両方でしょう)、とってもイイ感じで盛り上がったライヴになった。

ステージは、ニュー・アルバムのオープナーでもあるライト・タッチの<Your Wind>。続いて懐かしの<スキニーガール>、配信でもすでに人気沸騰の兆しがある< 素直になれたら>と畳み込んで行く。そして<ミンナサミシイ>、2nd Setで歌った<空の下World>、<線(ライン)>の3曲は、もともとオフィシャル・デビュー前に作った自主制作盤に入っていた楽曲。それにメンバー&金吾さんで手を加え、バンドの成長ぶりがハッキリ伝わる出来栄えになった。

この時点でステージ上には、cherry(vo)、yoshro(b)、青木岳(key)の正式メンバー3人に、スペシャル・メンバーという肩書きの宮崎まさひろ(ds)、そしてこのところ大きいライヴでは必ずサポート参加してくれている外園一馬(g)という、レコーディング時のコアな面々。でも何よりも、プロデューサーの金吾さん(g/cho)がメンバーづらして一緒に出ずっぱり、なのに驚く <Collage>では、レコーディングにも参加しているハーモニカ奏者:チャーリー猪浦がステージに上がり、染み入るようなソロを披露。続いて『ROXY』に入っていた2曲、デュエット曲 <コイウラ>を今宵は金吾さんと。そして< Summer Time Magic>では、若手注目株:外園クンのギター・ワーク炸裂。そして1st最後は新作に戻って<スマートな終わり方>。

2nd Setは金吾さんがラジに提供した<Goodbye Transfer>でスタート。そしてここからは、やはりアルバムに参加している竹上良成(sax, perc)もステージに。ラテン・タッチの<RAINBOW SKY>、ウェットな<You are You>を鮮やかにキメたあとは、外園クンや金吾さんもリード・ヴォーカルをとるクリスマス・メドレーで、<I'll Be Home For Christmas><Santa Claus Is Coming To Town><赤鼻のトナカイ>などを。ジェフ・ベック<Jeff's Boogie>のリアレンジから矢継ぎ早に楽しく展開していく妙味は、間違いなく金吾さんに拠るモノだろう。

パーティ気分のメドレーの後は、一転<線(ライン)>でたおやかに。そしてココ数年の人気曲<シグナル>、新作からのリード曲<Windy Rain>で華やかに大団円。アンコールもお馴染み<Mirage>、新作でも締めとなる金吾さん/Cherryの共作<Answer>で、ウェットにエピローグ。

コロナ禍ということもあって、フルハウスとはいかなかったが、足を運んでくれたオーディエンスの皆さんにとっては、かなり満足度の高いライヴになったと思う。youtubeで届けられているキンチェリ(金吾 vs スパチェリ)的な仕込みも笑いを誘って、新作未聴の人が多い、本来なら緊張感あるライヴになりそうなところを、思い切りリラックスしたライヴになっていたのが微笑ましい。その辺はやはり、プロデューサー:濱田金吾の存在あればこそ為せる業だ。

これまで勢いのあるバンド・サウンドを看板にして、ハジケたシティ・ポップをやって来た彼ら。しかしこの新作『WINDY』を金吾さんに委ねたことによって、シンガー・ソングライター:cherryの資質を前面に押し出すことになった。でもそれは、前々作『MIRAGE』時からメンバーを2人失っている彼らにとっては必然的であり、同時に止むを得ない変化でもある。でもそれを思いっきりポジティヴに捉え、あるべき姿に近づいた進化の結果が『WINDY』なのだ。だからこのアルバムは、ミディアムやバラードが多めの、よりアーバンな仕上がりに。ある意味、cherry のソロ・アルバム的な仕上がりになった、と言っても過言ではない。と同時に、kyd青木が自信をつけてきたこともハッキリ感じ取れる。“ハジけるようなシティ・ポップのその先へ” というコピーには、そうした進化のプロセスが込められているのだ。

【WINDY Release Party @六本木CLAPS SETLIST】
1. Your Wind*
2. スキニーガール
3. 素直になれたら*
4. ミンナサミシイ*
5. Collage*(feat.チャーリー猪浦)
6. コイウラ(duet with 濱田金吾)
7. Summer Time Magic
8. スマートな終わり方*
-- interval --
9. Goodbye Transfer*
10. RAINBOW SKY*
11. You are You*
12. 空の下World*
13. Christmas Medly
14. 線(ライン)*
15. シグナル
16. Windy Rain*
-- encour --
17. Mirage
18. Answer*

* New album『WINDY』収録曲



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