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ソニー・ジャパンが独自に探求しているビートルズDNAを持ったアーティストを集めたコンピレーション『Power To The Pop』シリーズ。今年9月に出た第2集『Power To The Pop2』はスルーしてしまったけれど、実はこんなバンドが発掘されていたのね。ナッシュヴィルのポップ・カントリー系ミュージシャンがワイワイ集まって、ビートルズのオマージュ・バンドを始めたというヴィニール・キングス。おそらく、このコンピで「ヘェ〜、そんなバンドいたんだ」って方が多いと思うけど、ハッキリ言います。あまりに おッセェ〜ヨ 当ブログじゃ、もう16年以上も前に紹介してるんだから…(当時のポスト)

ついでにもうひとつ言うと、今回のメーカーのインフォメーションでは、同じソニーってことで、やたらラリー・リーが在籍していることを強調している。でも実のところ、ラリーは確かに中核メンバーなのだが、ホントはメンバー6人が並列に並ぶようなスーパー・バンドで、中にはラリーに負けず劣らずの…、イヤ、見方によってはラリー以上の実績を持っていたりするメンバーもいるのだ。

そのラリー以外の5人のメンバーとは、ジョシュ・レオ(g)、ラリー・バイロン(g)、ジム・フォトグロ(g)、ハリー・スティンソン(ds)、マイケル・ローズ(b)。ほら、AORファンだったら、ラリー・リーとジム・フォトグロが一緒にバンドを組んでた、ってところで、もう引っくり返っちゃうでしょ フォトグロは最初の3枚がAORファンに有名で、<We Were Meant To Be Lovers>(全米31位)や<Fool In Love With You>(同25位)のヒットもある。AOR衰退とともに一旦は姿を消したが、第1期AORリヴァイヴァルの90年代始めに、ポリスターで日本制作盤を2枚リリース。その頃はダン・フォーゲルバーグのバンドでベースを弾いていて、ダンのライヴ盤でもプレイしている(←ソニー的にはチェックしないと)。ゼロ年代以降は、ポップ・カントリー・フィールドで自主制作盤が4枚。それと同時進行で、ヴィニール・キングスをやっていた。

ハリー・スティンソンも、今ではスッカリ、ナッシュヴィルのカントリー系ベテラン・プロデューサーだけれど、この人、実は元シルヴァー。全米16位<Wham Bam(恋のバンシャガラン)>や、超絶名バラード<Musician>で知られる、あのシルヴァー、バニー・リードンの弟トムや、グレイトフル・デッドで活躍した故ブレッド・ミッドランドがいた、あのシルヴァーの出身者だった(←これもソニー)。

ラリーと共に中核を張るジョシュ・レオは、アラバマやレストレス・ハートなどのプロデュースで知られる御仁。ギタリストとしてはグレン・フライやテイモシー・B・シュミット、ピーター・セテラ、J.D.サウザー、ジェシ・コリン・ヤング、キム・カーンズなどとセッションしてきた強者。

もう一人のギタリスト:ラリー・バイロンは、ナッシュヴィルだけでなく、マイアミやマッスル・ショールズでも活躍した人。ステッペンウルフへの参加で名を挙げたが、ジョー・コッカーやレヴォン・ヘルム、ボビー・ウーマックに付き合ったりも。AOR的にはF.C.C.(Funky Communication Committee/←これもソニー)のメンバーでもあり、ロバート・バーンやDr.HOOK、HOT、マック・マクナリーのアルバムにも参加している。

そしてマイケル・ローズは、ナッシュヴィルきってのファースト・コール・ベーシスト。個人的にはスティーヴ・ウィンウッド『ROLL WITH IT』で、ラス・カンケルとタッグを組んでいたのが印象に残っている。

このように、まさしくスーパー・バンドの様相。そういったメンバーの経歴が、このCDの解説で何処までシッカリとフォローされているのか、ちょっと気に掛かるところではあるな。

でも今回出た『ザ・ベスト・オブ・ヴィニール・キングス』は、『A LITTLE TRIP』(02年)と『TIME MACHINE』(06年)の2枚をそのままパッケージしているそう。ビートルズ好きは、思わず唸っちゃうようなオマージュぶりで、久々に聴き直して楽しんだ。しかも、ビーチ・ボーイズやホリーズあたりのインフルエンスも混ぜ込んでいるようだし、それこそジェフ・リンへの対抗心もあるのだろう。

メンバーの他にも、ビーチ・ボーイズやイクイノックス周辺人脈の一員で、AOR的にはジョー・シャーメイ・バンドやフリーウェイで知られるジョン・ホッブス(kyd)、ビリー・ヴェラ&ビーターズやブルース・ホーンズビー&レインジに在籍したジョージ・マリネリ(g)、ベテラン:ジム・ホーン(sax)、後にTOTOに関わるシャノン・フォレスト(ds)らが参加。ベテラン・ミュージシャンたちの本気印の遊びっぷりがイケている。

ヴィニール・キングスは既に活動を止め、ラリーも新たなステップに進んでいるようだが、それにしても、今になってこういうカタチで彼らのゼロ年代作品が発掘されるのは、かなりビックリ。