illinois speed press

2021年も押し迫った12月30日、元ポコのリッチー・フューレイが、昨年相次いで天に召した盟友ポール・コットンとラスティ・ヤングを追悼するトリビュート・パフォーマンス映像を公開した。自宅のリヴィングにマイクを立てて弾き語るだけのものだけど、牧師でもあるフューレイの人柄が伝わってきて、何だか温かい気持ちになった。そこで思い出したのが、11月に出ていたイリノイ・スピード・プレスの1st(69年)。例によって、韓国Big Pink制作による紙ジャケ盤の国内流通仕様である。

このイリノイ・スピード・プレスは、ポコの中心メンバーとして長く活躍したポール・コットンが、ポコ加入以前に、カル・デヴィッドらと結成した5人組。自分はずーっと、イリノイ・スピード・プレスはポールとカルのデュオ・ユニットだと思っていたのだが、それは2作目にして最終作となった『DUET』の話。元々は、ピーター・セテラも在籍したエクセプションズでシングルを出していたカルが、65年にグループを離れ、ポールとローヴィン・カインドなる新バンドを結成したのが始まりだ。彼らは67年までに数枚のシングルを発表したものの、どれも不発で時に分裂状態に陥りながらも、メンバー交代を経て何とか生き永らえ、シカゴのクラブで演奏しているところをジェイムズ・ウィリアム・ガルシオに認められた。そしてガルシオの手引きで米コロムビアと契約し、イリノイ・スピード・プレスに改名。同じくガルシオがプロデュースするシカゴ・トランジット・オーソリティ(後のシカゴ)と同時期にデビューした。

『DUET』では如何にもポール・コットンらしいカントリー・ロック・スタイルが前面に出ているが、この5人組ファーストでは、そのカントリー・ロック的な要素と、サイケでヘヴィなブルース・ロックが混在。ノイジーなコラージュによる<Overture>が象徴するような、未整理のままの混沌としたサウンドを聴かせる。それでもポコへの筋道がシッカリと見える内容で、スワンプ寄りのカルとの対比が興味深い。

事実カントリーに寄った『DUET』発表直後、カルは元エレクトリック・フラッグのハーヴェイ・ブルックスとツルんで、ファビュラス・ラインストーンズを結成。一方ポールは、ジム・メッシーナが抜けたポコに誘われ、71年からメンバーになっている。これはデビュー直前のイリノイ・スピード・プレスが、ポコのライヴのオープニング・アクトを務めたのが縁だった。

それにしても、シカゴやイリノイ・スピード・プレスのみならず、ブラッド・スウェット&ティアーズ、バッキンガムズ、ホーク・ウォリンスキー(後にルーファス)がいたマデュラなどを一手に手掛けていたジェイムス・ウィリアム・ガルシオ、かなりのクセ者らしいけど、やっぱり大した慧眼の持ち主だな。