heart_magazine

ユニバーサルの廉価企画【入手困難盤復活!! HR/HM1000 VOL4 北米編】から、少し前に紹介したパット・ベネターに続いて、アン&ナンシー・ウィルソン姐御たちが率いるハートの2ndを。一般的にハートというと、<Never>とか<These Dreams>、<Alone>あたりを続々チャート上位へ押し込んでた80年代後半あたりが人気なんだろう。だけど自分は、やっぱり<Barracuda>にショックを受けたクチで。それから急ぎ遡って初期マッシュルーム・レーベル期の2枚を聴いて、そうこうするうちに4枚目『DOG & BUTTERFLY』(78年)が出て…、っていう流れ。

だから入り口は米ポートレイト移籍第1弾の77年作『LITTLE QUEEN』なんだけど、<Burracuda>が突出していた感のある『LITTLE QUEEN』より、<Magic Man>や<Crazy On You>、<Dreamboat Annie>が入っている1st や、この2nd『MAGAZINE』の方が好きだった。

確かこのアルバムは、移籍にまつわるドタバタの犠牲になった作品で、バンドはこのアルバムを未完のままにしてレーベル移籍。カナダの会社だったマッシュルームは、それをそのまま勝手にリリースし、訴訟問題になった。結局アルバムは一旦発売中止になり、ライヴ音源を追加するなどして体裁を整え再発売。それが今も聴ける『MAGAZINE』になる。それが妙に中世趣味というか呪術性というか、森ガールみたいなイメージを打ち出した『LITTLE QUEEN』よりも、ハートのハード・ロック体質がストレートに現れていて、断然カッコ良かったのだ。スターター<Heartless>の前のめりなツッコミ具体とか、<Without You>のロックなカヴァーとか。ライヴ音源ではアン姐さんの<You Shook Me>が聴けたりして、彼女のレッド・ツェッペリン愛を強く感じたりも。

デビュー直後というコトで、まだ何処かB級っぽさがあるけど、そこがまた返って親しみやすく。その無駄のないシンプルなバンド・サウンドに、思わず惹かれちゃうのだな。