brandon barnes

新作・旧作を問わず、注目すべきAOR作品/アーティストや隠れた傑作に光を当ててきた拙監修シリーズ【Light Mellow Seaches】from P-VINEも、今年で早7年目を迎えた。ちょうどこれまでにリリースしてきたアイテムをザッと振り返る機会があって、ちょっと拾い聴きしたり、時に懐かしんだり…。作品によってAOR度はマチマチだけれど、作品クオリティに関しては、どれも一定ラインはシッカリとクリアしている、そう自負できるラインアップだ。そんな中、「あぁ、コレはもっと売ってあげたかったなぁ…」「内容の割にはリスナーの皆さんに届かなかったなぁ…」と、少し悲しい気持ちにさせられるアイテムがある。その筆頭が約4年前、2017年10月にリリースしたブランドン・バーンズの1stソロ・アルバム『I'M IN LOVE AGAIN』だ。

ブランドンは、AOR名盤『AN EYE FOR AN EYE』で知られるバーン&バーンズの片割れ。そう、かのロバート・バーン(故人)の相方だったヒトである。詳しいプロフィールや作品紹介は、こちらから当時のポストをご覧いただきたいが、あのR&Bシンガー:ブライアン・マクナイトを発掘し、彼の92年のデビュー作では、大半の曲を2人で共作して一部楽曲をプロデュース。97年の3作目 『ANYTIME』のタイトル曲は、R&B4位/全米6位と2人のコラボで最大のヒットを記録した。

そんなブランドンがしばらくのブランクを挟んで音楽シーンに舞い戻って作ったのが、このアルバム。優しいアコースティック・ギターの響き、そして甘やかな歌声が印象的で、勝手につけたキャッチコピーが、“白いベイビーフェイス” 。音楽ファンの誰かにブランドンの正体を隠して聴かせたら、十中八九、ベイビーフェイス?と返ってくるであろう、そんなスタイルの持ち主。ヒットするとは思わなかったけれど、マニアックな音楽ファンにはそこそこ注目される、そう思っていた。でも正直、ほとんど空振りに終わってしまったなぁ…。

プロモーション不足、と言われれば、確かにそうだろう。でもインディ・レーベルでできるコトなんてタカが知れているし、SNSも今ほどは効果がなく、まだまだリアル・ショップに力があった。サブスクや配信への抵抗感も、今とは違っていただろう。

それでもブランドンの持つ作品力は変わらない。バーン&バーンズを聴いて感銘を受けた人なら、最近のブランドンの楽曲も、是非聴いてみてほしいと思う。作風は少し変わっていても、その心地良さは普遍。今から聴いても、全然遅くはないよ。