king crimsonmcdonald giles (1)
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ちょっとショック キング・クリムゾンやフォリナーの結成メンバーとして知られるイアン・マクドナルドが、2月9日、ニューヨークの自宅で亡くなった。家族に囲まれての、安らかな旅立ちだったという。死因はガンで、享年75歳。クリムゾンはオフィシャル・サイトで、“イアンのキング・クリムゾンへの貢献はかけがえのない深いもの” と追悼コメントを発表している。

イアン・マクドナルドは1968年、ロバート・フリップ、マイケル・ジャイルズ、グレッグ・レイク、作詞ピート・シンフィールドとキング・クリムゾンを結成。翌69年にデビュー・アルバム『IN THE COURT OF THE CRIMSON KING(クリムゾン・キングの宮殿)』を発表。サックス、フルート、クラリネット、といった管楽器を中心にキーボードやヴィブラフォンなどを担当して、マルチ・プレイヤーの才能を発揮。ビートルズをチャートから引き摺り堕ろしたことで有名になる。しかし直後の米国ツアーの過酷さに耐えられず、マイケル・ジャイルズと一緒にクリムゾンンを脱退。70年に『McDONALD & GILES』を発表した。このアルバムは先月 最新リマスターで再発され,、当ブログでも紹介したばかり(こちらから)

でもこのマクドナルド&ジャイルズは長続きせず、アルバム1枚で活動停止。その後のイアンは、元カーヴド・エアーのダリル・ウェイ(violin)率いるダリル・ウェイズ・ウルフ、フループ、ファイアバレーといったプログレ系グループをプロデュース。T.レックスやシルヴァーヘッド、フィル・マンザネラ、ハービー・マンらのレコーディング・セッションにも参加した。…と思ったら、77年にミック・ジョーンズ(元スプーキー・トゥース)やルー・グラム(元ブラック・シープ)、デニス・エリオット(元イフ)らと英米混成6人組の大型バンド:フォリナーを結成。すぐさま<Feels Like The First Time>や<Cold As Ice>を全米チャート・トップ10入りさせた。しかし日本では、イアンの経歴からプログレ寄りのサウンドを期待した人が少なくなかったのだろう。発売直後から、やたらと中古盤が出回っている、なんて噂を耳にした。もっとも<Cold As Ice>の世界的ヒットで、すぐに万人向けのポップ・ロックだと広まるのだが。自分も最初はイメージの差に戸惑った記憶があるが、 <Feels Like The First Time>や<I Need You>のカッコ良さに惹かれ、フォリナー・ファンになった覚えが。イアンのフルートが印象的な<Starrider>も大好きだった。

でもミックやルーの存在に比べ、イアンの所在の薄さが気になったことは紛れもない事実。案の定、3枚目の『HEADGAMES』を最後にフォリナーを脱退。それ以降は、あまり表立ったニュースが聞けなかった。そんな中、90年代になって参加したスティーヴ・ハケットのプロジェクトを足掛かりにして、97年に突然初ソロ・アルバム『DRIVER'S EYE』をリリース。期待したプログレ系ではなく、平凡なポップ・ロック作で肩透かしを喰らったが、当人が元気そうでホッとした。そしてクリムゾンの同窓会バンド:21stセンチュリー・スキッツォイド・バンドのスタートがゼロ年代に入ってのこと。そこにいつしかロバート・フリップが絡み、やがて現行クリムゾンに取って代わっていくけれど、結局イアンに再びスポットが当たることはなかった。やっぱりイアンのプレイをガッツリ堪能したいなら、『宮殿』と『McDONALD & GILES』しかないのだな…。才能の割には、本格的な活動が短期間で終わってしまったなのが、買えずがえすも残念である。

Rest in Peace...

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