real thing anthology

山下達郎&吉田美奈子が80年にレコーディングしたFM番組用のスタジオ・ライヴは、<Sparkle>の元ネタとなったナイトフライト<If You Want It>やユージン・レコード<Help Yourself To Love>など、隠れた名曲カヴァーばかりで構成されたことで、半ば伝説化している。そのオープニングで歌われたのが、 UKリヴァプール出身のソウル・グループ:ザ・リアル・シングの<Rainin' Through My Sunshin>。そのザ・リアル・シングのキャリアを総括したCD7枚組ボックスが、昨年秋にひっそりと。それを先月知って、慌ててゲットした次第。

リアル・シングは今までにも複数の編集盤やアンソロジーが組まれているが、今回のモノが質・量ともに決定盤。76〜79年発表『REAL THING』『4 from 8』『STEP INTO OUR WORLD』『SAINTS OR SINNERS』のオリジナル4作は、それぞれにアルバム未収シングルや別エディット、12インチ・リミックスなどボーナス曲大量追加で復刻。特に1stと4thはコレが初CD化のはずで、1stには当時シングルのみで出された5曲が含まれている。

他の3枚も、結成直後である73〜75年のEMI音源、アルバムを出せなくなった80年代のシングル音源を集大成。ヌード・ジャケでソウル・ファンに人気の『CAN YOU FEEL THE FORCE』(=3rdアルバム『STEP INTO OUR WORLD』の79年再発アップデイト盤)のデザインを流用したディスクには、80年代中盤のリミックスがたんまりと。

今年に入って、何と約40年ぶりのニュー・アルバムをデジタル・リリースしたので、その前振り的意味合いもあったのだろうが、その肝心な新作は玉石混交。メンバーは2人になってしまったものの、なかなか熱いヴォーカルを披露していて好感が持てたのだが、バジェットの問題もあるのだろう、これまで少しずつ録り溜めてきたものを一枚にまとめた感じで、サウンドにも指向にもバラつきを感じてしまった。今も現役なのは嬉しいが、自分的には、やはり最初の4枚のアルバムがサイコーなんだな。