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19日20時からBSフジでオンエアされた2時間特番『「HIT SONG MAKERS」CITY POPスペシャル』。ご覧いただいた方、どうもありがとうございました。六本木で1時間以上に及ぶインタビュー取材を受け、ああいう形になったワケですが、若干 手前ミソながら、番組トータルでよくまとまっていたのではないか、と。自分の収録時間は、音楽評論家/ライター・チームの真ん中だったので、萩原健太さんとも松永良平クンとも顔を合わせ、ちょっとお話ししたりしましたが、お互い多少のスタンスの違いは認めつつ、現在のブームからはそれぞれに距離を取っているようで、割とクールに見ている感じが共通していました。

自分の登場場面に関しては、どこかどう編集されたのか、オンエアまで全く知らず。割と最初の方で、Light Mellow 和モノのコンピが紹介されつつ、海外からシティ・ポップ・ブームが到来する以前の動きを語った下りと、70〜80年代に隆盛を極めたシティ・ポップがその後どこへ消えたか?、という話を振られ…。ちょっと意外なところを切ら取られたな、と思いつつ、シティ・ポップを取り巻く風向きが変わった後先、というポイントを解説する形なので、なるほどな〜、と。

洋楽のAORもそうだけれど、この辺りって音楽側では音楽そのものの進化と楽器や録音機材の技術革新が同時進行的に進む一方で、CMやタイアップなどヴィジュアルで音楽に対するパブリック・イメージが変化し、それに伴ってビジネス的・商業的なスケールが大きくなった時代。それが互いに連動して、バブルに向けて急突進していった、ある意味とてもスペシャルな、幸せな時代だった。ティン・パン・アレーの面々が異口同音に話されてたけれど、いろいろな音楽的実験を受け入れてもらえる時間や経済的環境が整っていた。社会にそれだけ余裕があったのだ。そしてその頃の音楽が再び若い世代の心を捉えているということは、その当時の空気感が今また求められるようになってきている、というコト。オンタイム派にはノスタルジーでも、今のジェネレーションにはリアルな新しい出来事。もちろん取り巻く状況は同じではないけど、どこか共通するモノがあるのだと思う。それ故にラストが新世代代表:ブルー・ペパーズ)福田直木が歌う<Morning Glory>で締め括られたのは、とても良い流れだった。

それにしても、南佳孝<プールサイド>、杉真理<夢みる渚>、土岐麻子<Down Town>、Ms.OOJA<真夜中のドア〜Stay with Me>に福田の歌と、井上鑑さんアレンジ、鑑さん以下 今剛・岡澤章・山木秀夫・佐々木久美・村田陽一から成るスペシャル・バンドの演奏の豊潤さと言ったら…。

基本的に、これまでに日本でイメージづけられてきたシティ・ポップと、いま海外では注目されているシティ・ポップは、イコールではない。番組内で松永クンが Night Tempoの言葉として伝えたように、「あまり分析的な聴き方をしない…」のが海外のシティ・ポップの聴かれ方。対して日本のファンは、もっと歌詞に耳を傾けるし、その背景を見ようとする。“洋楽的”であることがキーワードのひとつだから、歌謡曲やフォークみたいに詞先には走らないが、それでも歌詞が日本語なら自然に耳に入ってくるし、グルーヴやサウンドだけでなく、作り手の狙いや気分がシッカリ伝わってくる。でもどちらが良い悪いではなく、どちらもアリ。逆に言えば、日本の音楽ファンが海外のシティ・ポップ観に引き摺られる必要はない。だって日本は、シティ・ポップの発信源なのだから。

何れにせよ、素敵なプログラムに参加させていただいたコトに感謝。再放送の際は、facebookでお知らせします。