mike campbell

マイク・キャンベルというギタリストには、ニューヨークのセッション・プレイヤーで、チェンジとかB.B.& Q.バンド、それにハッシュ・プロダクション系に数多く参加していたマイク(マイケル)・“ディノ”・キャンベルなる人もいるけれど、今回はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの方。最近はフリートウッド・マックでリンジー・バッキンガムの後釜を務めているが、そのマイク・キャンベルが自分のバンド:ザ・ダーティ・ノブズとの2作目を出した。しかもコレが、かなりご機嫌なアメリカン・ロックン・ロール・アルバムで。このジャケを見てピ〜ンと来た方、その直感は間違ってませんゼ

トム・ペティとマイク・キャンベルが組んだサイド・プロジェクトというと、すぐにデビュー前に組んでいた復活マッドクラッチを思い出すが、その前後、今から20年近く前にマイクが立ち上げていたのが、このザ・ダーティ・ノブズ。

でも初レコードは、そこから10年ほど経過した2010年のシングル盤で。そして初アルバムは、何と2020年の『WRECKLESS ABANDON』。昨年はレコード・ストア・デイ限定で、J.J.ケイルの曲を7インチ・シングルで出していたそうだ。でも実のところ、その辺は全然知らなくて…。ぶっちゃけ、ネットでこのアルバムのアートワークを見て、あれドン・ワズ(現ブルーノートのプレジデント)?なんて思ったら、マイク・キャンベルのリーダー・バンドで、しかももう2枚目だと知った。

ルックスの通り、ローリング・ストーンズやレニー・クラヴィッツを髣髴させる荒削りなロックン・ロールが身上。プロデュースは前作に続きジョージ・ドラクリアス。ブラック・クロウズやジェイホークス、プライマル・スクリームなどで知られるが、サザン・ロック系やカントリー・ロック系が得意で、当然ハートブレイカーズも何作が手掛けている。臆面もないブリジット・バルドー賛歌<Brigitte Bardot>は、まるでレーナード・スキナード<Call Me A Breeze>(J.J.ケイル作)。そうかと思えば、チープ・トリックが老成したようなパワー・ブギーもある。更にノリノリのロカビリーにブルース・ロック、哀愁のカントリー・バラードも。

ゲストには<Dirty Job>で共演しているイアン・ハンターに、ハートブレイカーズ/マッドクラッチ仲間のベンモント・テンチ、そしてカントリー系シンガーのマーゴ・プライス。

あまりにカッコ良いので、慌てて1作目をサブスクったら、こちらはもっとガレージっぽい感じ。路線自体は変わらないが、2枚目を先に聴いちゃうと、どうも小振りでスケールが小さく思えてしまう。日本と違ってUSでは、マックもハートブレイカーズも動員力にそう大きな差はないはずだけど、やっぱりマックと一緒にツアーしてツボを会得したというか、何か感じるところがあったのかもね。